中華料理店が盛んに「町」に作られたのは高度成長期の昭和。
その初代店主のみなさんは今70代、さらには80代。
サラリーマンだったらとうに定年でしょうが、
多くの「町中華」の店主たちは驚くべきことに現役。
しかも毎日元気に、そしてフルで活躍し、
町の皆さんへ料理を通して活力をふるまってくれています。
そんな「ベテラン店主の味」を巡ってみようと思います。
第①弾は高円寺駅にほど近い「中華料理 味楽」です。
JR高円寺駅の南口。
出て右側高架沿いを進みます。
徒歩2分。
なんとも町中華らしいじゃないですか。
赤いテント、のれん、黄色いメニュー、
いわゆる典型的町中華イメージそのものですね。
そのなかにあってやたらテントだけが新しい・・
じつは、この日の少し前に大きなトラックが引き裂いてしまったと、
近所の人の会話で分かりました。
その弁償?で新調したという話です。
町の人で大人気。
高円寺のサブカルっぽい若者、ファミリー、
ビール片手にスポーツ新聞のおじさん・・・
ラーメンが400円ですよ!
400円!
カレーライスも400円。
平成どころか昭和の値段かと思ってしまうほど。
この時代において幻を見ているかのよう。
なのでそのラーメンを味あわなければ。
でもワンタン麺も心惹かれるし、、、
おっと「半ちゃんラーメン」もありますね。
650円!!!
これも幻ではないのか??
「半チャンをワンタンメンでもできますか?」と尋ねると、
即返で「できますよ!」と。
うれしい。それお願いします!
「幻たち」がまだまだいいます。
砂肝イタメライス、ハムカツライス、ウインナーイタメライス・・
なんと魅力的な。。。。地元民になりたい!
さんまひらき定食!
とにかくお客さんの入れ替わりが絶えない。
この店における活気は素晴らしい。
特大カレーライス!!
なんと奥深い。
!!!!!!!!!!!!!!
これが味楽のラーメン、いやワンタン麺なのか!!!!!!!!
衝撃のビジュアル。
ラーメンに目玉焼きが乗った姿は町中華では初めてかも。
そして半チャーハン。
これも驚き!!
チャーハンにマカロニが乗った姿なんて言うのも見たことがない。
半チャンラーメン(ここでは半ちゃんラーメン)
としてはそうとうな異質なビジュアル。
見惚れてる場合じゃない。
早速いただきます。
あ、軽い膜がある。
これは・・・
しっかりしたボディがある旨いスープだ。
中央線沿線のラーメン的な煮干の香りもする。
「町中華そば」=町中華の典型的ラーメンと「支那そば」の中間といったところ。
そしてスープがきっちり熱い。これはとても大事なことです。
麺は柔らかめだが気にならない。
スルスルと入る。そして量もすごい。
目玉焼きもそうだし「たくさん食べてね」というメッセージ。
ワンタンが次から次へとでてくる。
いくつ入ってるのか数えられないほど。
チャーシューも締まっていて旨し・
チャーハンはとても素朴なお味。
ご主人は大ベテランとお見受けします。
すっかり前傾姿勢になられています。
それであのバラエティあるメニューをどれも手早い調理をされるその気力・・・
すごすぎて言葉が出ません。
全く何気なくこなされていらっしゃる。。。
そしてお客さんにいっさいの緊張を与えない。
ここでの食事は「味が楽しい」=味楽。
まさか出前までされていらっしゃるのか?
ひと段落したところで、ファミリーの小さい子たちに
お母さんがヨーグルトをお盆に乗せてサービスされていました。
それを見てニコニコのご主人。
私にはヨーグルトドリンクではなく「うまい棒」を一本。
たかだかうまい棒一本、そういうことではないです。
日々たくさんのお客さんがきて、作って、配ってだけでもヘロヘロのはず。
気づかいなんてできなくたって誰も文句言わないし、する必要もない。
マーケティングがなんとかとか、ストーリーがなんたらとか、
この一本のうまい棒に込められているシンプルな「真心」にかなうのかな?
こういう町中華と新しいカルチャーがいっしょくたの高円寺。
なんか中央線で一番粋な空気感を持つ町かも。
そこに味楽という「町中華の典型」をみました。
再びこの地を訪れた時も現役バリバリでいて欲しいです。