この店を、町喫茶ということで片付けてしまっていいのだろうか・・
そう思わせてくれる、どこの店とも違う、極めて個性的な喫茶です。
奈良市の「喫茶 スギ」
ノスタルジックな街で、ノスタルジックな喫茶室。
町喫茶を巡るならではの、巡って見つけた名店です。
場所は奈良駅から徒歩5分くらい。
とはいいながら観光とはほぼ無縁の普通な街並みになります。
隣りのマンション、パーキングとの対比がなんとも言えない、
かなり旧式な(失礼!)建物が突然に。
それでいて、どこかモダーンな外装。
もしかしたら改装されているのかな。
「喫茶 スギ」とは書かれているものの、
一見ではそう思えないかもしれません。
「珈琲 果汁」
なんともストレートで、不思議な表現。
ただのランチではなく、古都らしい「松花堂弁当」。
あまり知らなかったですんが、十文字の仕切りが「松花堂」というのですね。
これはユニークな空間。
喫茶室らしいといえばらしいし、
そうでないといえばそれもそうかなと思える
なんとも不思議な魅力の空間。
この空間の魅力を感じる人はかなりいるんじゃないかな。
私は一発で虜になりました。
どこか和の雰囲気があるのも古都らしい。
メニューの数はかなり限られています。
過不足は全然ないですけど。
とはいえ松花堂弁当、天ぷら蕎麦があるのはおもしろいところ。
喫茶室の「蕎麦」ってどういうものなんだろう?
で、私のチョイスは「オープンサンド」。
オープンサンドなんてなかなか出すところがないので。
「オープンサンド」
これぞ喫茶室ならではの食事メニューとして雰囲気バツグン。
そして「ミックスジュース」
関西ならではだし、スギなら「果汁」を味わないと。
いい景色だ。
塩のボトルひとつにも味わいを感じる。
他でありそうでなさそうな、
そんな姿。
サンドウィッチ伯爵由来のサンドイッチは「挟む」からサンドなのに、
挟まずオープンでサンドとはこれ如何に(笑)
ではいただきます。
特別な味付けがされていないので、特別「味」ではないです。
が、特別な「味わい」があります。
特別な味わいの雰囲気の中、特別な味わいのものを食す。
これが喫茶の価値。
私的には少しだけ塩をかけるとちょうど好みになりました。
そして「ミックスジュース」
ジューサーミキサーって今でこそ家の必需品ではなくなったけど、
私の時代は流行りました。
こうはうまく作れなかったけど。
小さな食事なんだけど、時間をかけながらが楽しい。
この「いい時間」を延長したくなって、
珈琲を追加オーダー。
ごちそうさまでした。
やはり私の考え「喫茶室は時間を味わう存在」は間違っていない。
喫茶室はもしかしたら時代の潮流から埋没してしまうかもしれません。
しかし最近その良さに回帰されていることが多く、
名店の発掘を若い人がしてくれています。
この日、私以外のお客様は地物との常連さん、
そして若い女性のカップル。
このちょっと不思議な世界に目をキラキラしていました。
外見は商売人的雰囲気がなく、いっぽう何か秘めている雰囲気。
町中華も、町喫茶も、マスターの個性ごと味わって深みを感じたいものです。
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