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【勝手にインプレ】森園勝敏『レィディ・ヴィオレッタ』~44年分の同じ曲で一つのアルバム

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もしかしたら・・・

同じ1曲だけを、しかも当人が演奏したものだけで一つのアルバムにしたCDなんて、他に存在しないのでは?

他者の演奏によるコンピレーションならともかく。

それが、森園勝敏レィディ・ヴィオレッタ

この曲の初出が四人囃子のセカンド・アルバム「ゴールデン・ピクニックス」の1976年。

つまりなんと44年の歳月を経てこの1曲だけのアルバムが完成されたわけです。

これは実に特異な例であり、先にも言った通り全部森園勝敏自身のギタープレイだけ。

変な話他の人が演奏してないということだけなんですが(笑)



さて、この曲の出自は、

「レィディ・ヴィオレッタ」が生まれたのは、森園勝敏自身がある絵を観たことがきっかけ。それがアメリカのコマーシャル・アートの世界で有名なイラストレーター、マックスフィールド・パリッシュによる“Lady Violetta”だ。

(ライナーノーツから 以下同様)

森園:僕にとっては、モナリザよりもモナリザっぽい絵で、女性がとても不思議な表情をしているわけ。その感じを音楽で表現したかったんだ。

アルバムジャケットがまさにそれ。

なので本当の曲名はA Song for Lady Violetta

1970年代、中学生ながらアメリカ文化には敏感だった方にもかかわらず、マックスフィールド・パリッシュは正直全然知りません。一時期は全米の家庭の4軒に1軒はパリッシュのアート・プリントを 飾っていた程の人気らしく、しかもあのモナリザよりもプリント枚数が多かったとのこと。

さて、アルバム構成はボーナストラック入れて10曲構成。




スタート1曲目はゴールデン・ピクニックスから派生したシングルバージョン

森園:アルバム・バージョンと違ってギター・ソロが入っているのは、プロデューサーの意向だね。自分としては納得していないバージョンだけど、違和感を覚えながら苦労して弾いていたので、演奏に力が入っている。だから、ある意味、生々しいギター・サウンドが録れたのかもしれないね。

確かに力んでいるのか、本来のメロディを活かしたプレイには聴こえず、アルバムを超える作品とは言い切れないでしょう。あそこまでのディストーションはいらないし。

マニア?(笑)的にはそれを含めてアルバムと対比して楽しめるといったところでしょうか。





2曲目はギター・ワークショップ Vol.2 ライヴ ファースト・ナイトLady Violetta from GUITAR WORKSHOP Vol.2 LIVE First Night

なぜ滝川クリステルであるかは横に置いておきましょう(笑)






これは「ギター・ワークショップ Vol.2」をずっと以前から持っていたのでよく知っていました。

割と好きなプレイです。ストラトながらノンディストーションがとても優しく、サックスはよき相棒の中村哲。キーボードはたしか坂本教授ではなかったかと。

このアルバムではほかのプレイヤーが力が入った演奏を繰り広げているのに、「グラス・ドルフィン」を含めて、そんなのどこ吹く風でムーディになプレイを繰り広げているのがいかにも森園。このハズシの世界観(笑)




3曲目はその第2夜だったギター・ワークショップ Vol.2 ライヴ セカンド・ナイトLady Violetta from GUITAR WORKSHOP Vol.2 LIVE First Night)のプレイ。

昨日から一転して軽いディストーションがかかったいかにもストラトの音で、エフェクター、アームを利かせたいいソロプレイ。この人、一生涯同じ音を出したことがないんじゃないかな(笑)

それだけ「今日、降りてくるもの」をいつも楽しんでいたような気がしてなりません。







4曲目はジャスト・ナウ&ゼン」バージョンLady Violetta from Just Now & Then

1982年、エレクトリックバードにおけるラスト・レコーディング。

中村哲はもちろん、野力奏一、伊藤幸毅、青山純、秋元良一、相良宗男といった当時近しかったメンバーで固められていました。しかし今思えばこのアルバムはあまり明確な意図がなく、なんだったんだろうという正直な気持ち。

それはともかく、この時期かなりポップス調に走っていたので、どことなくその後のさらに不思議なアルバム「4:17 p.m」に近い、ライトでクリアーなサウンド

これはこれでレィディ・ヴィオレッタとしてはいつもの泥臭さは抜けてある意味完成度が高い方ではないかと感じます。






5曲目はフルハウス・マチネLady Violetta from FULL-HOIUSE MATINEE

第2期の四人囃子が1979年活動休止して以来、1989年に佐久間正英、岡井大二、坂下秀実の3人で活動を再開したとき、MZA有明に旧メンバーの森園勝敏、佐藤ミツルが参加したライブバージョン。四人囃子ファンにとっても伝説ライブ。

すでにテクノ化していたなかでの演奏にもかかわらず、この曲、というかこのライブだけはかなりオーソドックス。もしかしたら過去のどのプレイよりもいいサウンドを出しているかも。艶やかで伸びがあり、タメがあって余裕があって。佐藤ミツルのソロプレイは努力賞くらいでしょうか(笑)サイドギターにまわったら秀逸。

やっぱりこの曲には岡井大二が必要ですね。この時のドラムを聞いて強く思いました。息ピッタリ。






6曲目、2002 LIVE Lady Violetta from 2002LIVE

テレビ朝日「ROCK LEGENDS」での四人囃子ライブがCDになったものから。

この時森園としては極めて珍しいサンバーストのテレキャスターを使っていました。そのせいかサウンドが独特。ちょっと90年代のフュージョン風?

ただあのソロプレイはどうなんでしょう。なんかちょっとピラピラして変な感じ(笑)

坂下秀実のキーボードソロ、佐久間正英のバッキングはとてもいいですね。でもやはり感じるのは岡井大二の存在かな。この人ありきの「Lady Violetta」、そんな気がします。



7曲目は、プリズム・ライブ ! Lady Violetta from PRISM LIVE !

2004年クラブチッタで開催されたライヴ「homecoming2004」をアルバム化した「 PRISM LIVE !」からですね。私はDVDで持っています。

PRISMのライブなのでそのメンバーとの掛け合いであることにもう喜びを隠せません。

森園:プリズムのライヴに「レィディ・ヴィオレッタ」があったっけ? そうか、DVDから抜き出したオーディオ・トラックなんだね。ここではアキラがソロを弾いてるんだ。この時はいい音だったし演奏も出来がいいね。アレンジはキングで録音した『JUST NOW & THEN』のバージョンに近いと思うよ。

ただ和田アキラのソロプレイはいただけません。このころ一番変な方向に行っていてカクカクギコギコしたバイオリンチックな音がどうも不快で。それ比べてこの時の森園は本人も言っているように本来の伸びやさがあり、もっと言えばすごく情緒的。このライブは皆そうで、モーニングライトなんかもう森園先生の独壇場で、一気にお客さんを持っていってしまいました。一つだけ言えばツインギターなので和田アキラが本来アコースティックのパートを引いてくれていたのがちょいおなぐさみ。







そして、8曲目のトリは本家本元ゴールデン・ピクニックスA Song for Lady Violetta(Album Version) from GOLDEN PICNICS

森園:中間部がフルートの息切れしそうなくらい長いソロになってる。あの頃、バンドと仲の良かった浜口くんに吹いてもらったんだ。ちょっと長すぎたかな、と思ったけど。フルート・ソロにしたのは、パリッシュの絵の中に窓があってね、そこから空が見えてるんだよ。それを表現するにはギターじゃなくてフルートの方が適任だろう、ってことになった。だから、ギター・ソロじゃない、このフルート・ソロのバージョンが四人囃子がバンドとして納得した完成形なんだよ。実際、このアルバム・バージョンがこの絵の雰囲気を一番よく表現できていると思う。

これを高校生の時、音楽系クラブ有志が集まって文化祭でコピーをやろうという話なって、私はアコースティックギターで参加しました。音頭を取ってくれたのが軽音楽部きってのエレキギタープレイヤーの伊藤君。私の所属はどちらかというとニューミュージック系の「音楽村」。

彼がエレキ(レスポール)、私がアコースティック(YAMAHA)、ドラムは軽音の先輩、キーボードは私の元カノ(笑)、問題はフルートで、ここに助っ人で来てくれたのが吹奏楽部の同級生。これは助かりましたし、彼は幼少から英才教育されてほんとうにうまかった。ベースはいい人が見つからずギターだった宇土君がベースに持ち替えてやってくれたと記憶しています。

この混成で何回も練習して、実際にお披露目したとき、人生最高の喝采をもらえて本当にうれしかったことをよく覚えています。出だしアコースティックなんでめちゃくちゃ緊張しましたけど、4小節あたりでもう勝手に恍惚感に浸り、最後までのノリにのれました。あんなプレイはもう出来ないし、今ではF抑えるのも覚えてないほど過去も過去の話(笑)

でも今思えば喝采はプレイではなく、この曲のおかげだと心底思います。誰もがあの時この美しいメロディを理解してくれたんでしょう。



さて思い出話は別にして(笑)、アルバム最後にはボーナストラックが。

レィディ・ヴィオレッタ  ロック・ギター・オルタナティブ」と「レィディ・ヴィオレッタ(マイナスワン)  ロック・ギター・オルタナティブ

どこにこんな音源があったのかというか、だれも知らなかったものです。

森園:これはボーナス・トラックとしてフォーライフ・レコードから発売されたレコードからのバージョンだね。よくこんなの持ってたね。当時ハルヲフォンのギタリストだった小林克己くんが企画して、誘ってくれたんだ。ビッグボックスという高田馬場にあったスタジオで録ることになっていて、家から近かったので気軽に参加したんだけど、ちゃんとした話がないままレコーディングが始まってね、最後の方になって教則レコードだって言われたわけ。だから、レコーディングのメンバーも全く覚えていない。

高田馬場ビッグボックス(今のではなく黄色いビルの時)、懐かしい!よくボーリングしたなぁ。

プレイは教則本の通り、比較的オリジナルに忠実。これといった味わいはないので、やはり秘蔵だということでのオマケですね。

森園:この曲を作ってから半世紀近くになるけど、まさかこんな金太郎飴みたいなアルバムが発売されるとは、考えもしなかった。でも、こうやって聴き続けてもらえるのは嬉しい。アルバム・ジャケットにパリッシュの絵を使ってくれたことも感激しちゃうね。自分で言うのもなんだけど、よくできた曲だと思うよ。

いや、本当にそうです。日本のロックレジェンドたちが世に送り出した全ての曲の中でも珠玉中の珠玉

もしいわゆる日本のロック名曲全50位みたいのを選出したら間違いなくベスト10には入っているでしょう。いやベスト3以内かも。






このアルバムに入ってないもので、本当なら入れてほしいところだったのはコレ。

これはよく覚えています。

FMの生放送で、カシオペアがフューチャーされながら、途中和田アキラ森園勝敏が参加するという極めて珍しい歴史的事実(笑)。当時はエアチェックという手法で録音し、いまでもカセットに残っています。

プレイとしてはカシオペアサウンドの中、トレモロのような極めて丸い音で音を作っているのが特徴。

この当時の流行で、3人のプレイヤーを左右真ん中に分けていて、野呂一生を左、森園を真ん中、右に和田アキラ。これがもう迫力満点。野呂、和田の激しい掛け合いには一切付き合わない森園勝敏のスタンスがもう・・(笑)

考えてみたらこんな豪華なギタリスト3人での Lady Violetta は後にも先にもないし、これほどスピーディーな Lady Violetta もないです。それにしても野呂一生、和田アキラともこのころはマジでキレキレですね。

まぁ、本人中心の演奏とは言えないのと、CDなどになったわけでもないので当然えらばれなかったわけですが、せめてボーナストラックだったらなぁ。




platinum

by sammag | 2021-11-07 00:01 | MyFaivoliteMUSIC♪ | Trackback | Comments(0)

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