どんなにグルメブームであろうが、どんなにインスタ映えが流行ろうが、
そんなことすべて無縁の、うわべの飾りが全くない、
ここだけの、ここにしかない、骨太の店がありました。
他の方がどうとらえるかは関係なく、私はそう信じます。
「お食事処 キング食堂」
ミシュランはこういう店を本当なら載せるべきです。
グルメランキングではなく「クルマでわざわざ行く価値」だったはず。
食を探す旅、ミシュランのタイヤがそれを運んでくれる、じゃなかったのか??
なんで「味」や「店構え」ばかり珍重するのでしょう。
私は「真心」が食の提供の本質だと思っているので、
今のミシュランはちっとも支持しないし、グルメサイトも同じ。
木更津という住所なれど、ほぼ君津の近くの内陸部。
まさに「わざわざ行く」場所です。
なんとトラディショナルな佇まい。
「古い」という一言ではかたずけられません。
「キング食堂」というネーミングがすごい。
由来が分かったら面白ろそう。
駐車スペースはたっぷり。
古くても、きっちりしてる、整然としてる、
お店の在り方はまずこうでなくっちゃ。
では、メニューをゆっくり眺めましょう。
この店の、この雰囲気なら、どういうラーメンかがすごく気になる。
いや、その並びにナポリタンがある。めっちゃ気になる。
当然、チャーハン、生姜焼き、レバニラも気になるけど、
やはりこの店のど真ん中はフライものじゃないかと察知。
あじフライ、ほたてフライ、いかフライ・・うーん・・・
おお、コロッケだけに「特製」と書いてある。
この特製に惹かれて、コロッケ定食にしよう。
なるほど、食堂ではあるが夜はそういう場所になるんですね。
ああ、これに全く気が付かななった!
アジフライか、白ギスフライを追加すればよかった!
時遅し。残念。
お冷ではなく、お茶をすすって待つというのも「食堂の風情」。
特製 コロッケ定食。
かなり立派なコロッケ。
厚みがよくあるコロッケの1.5倍はあるかな。
この厚さでよく成形されてるなぁ。
マカロニサラダ。
泣かせてくれます。
お新香に、うれしいもう1品。
このシイタケが実にうまかった!
沈んで見えてませんけど、なめこの味噌汁。
粗くつぶされたじゃがいも。
まず、何もつけずに。
・・・・これだよ、これですよ、コロッケは。
サクッとして、中はホクっと食べ応えあり。
後半はソースをたっぷりかけ、こうなるとご飯ががぜんすすむ。
キャベツにもね。
しみじみ美味い。
ご主人と奥さんの「真心」がどこからとなく伝わってきます。
このコロッケに、メッセージを乗せて。
本当に御馳走さまでした。
食事終わりのこの幸福感。
なんの能書きも書いていないけど、何かがちゃんと伝わる。
目の前には諏訪神社。
こういう町のお社って少なくなってしまったよなぁ。
「真理谷」=まりやつ
マリヤだったらカッコよかったのに(笑)。
こういう場所にある旅館ってどういう機能があるんだろう。
海辺の釣り客相手でもないし。ゴルフの人は泊まらないだろうし。
さて、キング食堂。
隠れた名店です。
味だぁ、素材だぁの方には全く推奨しないし、評論のためには訪れない方がいいでしょう。
さりげなく、大切な一食をいただいて、ホッとして帰る、
それがこの店の価値だと思います。
ミシュランの一つ星って、本来こういう店に付けられるためにあったはずなんだが・・・