
やはりこの日が来たんですね。
ここ数年、私の好きなジャンル=クロスオーバーの終焉がそろそろ来るだろうと、
非常にいけない表現ではありますが、誰かが天国に召されてしまうことで強く思ってしまいました。
その先陣が「松原正樹」さん、そして二人目が「 村上”ポンタ”秀一」さんとなってしまいました・・・
テクニックが云々とか、ジャンルがどうというそんな些末なことを抜きにして、
間違いなく日本の「ドラム第一人者」はこの人。
これに異論をはさめる人は一人もいないでしょう。
私がポンタさんを好きか嫌いかは別にして、
私の持っている全CDの中で、クレジットされているドラマーはポンタさんは圧倒的です。
つまり、誰かの何かを買えば、そこに必ずポンタさんの名前があります。
「否が応でも」といってもいいくらい。
もちろんクロスオーバーとかフュージョンとかいうジャンルを超えて、
ポンタさんはあらゆるジャンルのドラマーとして参加されているので、
例えばYouTubeに上がっているものを眺めているだけでも、
え!またポンタさんが叩いているの?と思えるほど登場してくれます。
こんなミュージシャン、どこにもいない。
錚々たるメンツに囲まれたポンタさん。
これだけのネームバリューの人たちに囲まれても、
むしろポンタさんの掌で踊らされている感ありあり。
最後のドラ一発がカッコいい。
渡辺香津美とポンタ村上といえば「遠州つばめ返し」を思い出します。
この動画から二人の方がこの世に存在しないなんてどうにも信じがたいし、
しかし冷静にそれを受け止めれば、「この時代」はこの先終わりゆくのかと哀しい想いになってしまいます。
初めてポンタさんの名前を知ったのは「PRISM "Second Thoughts / Second Move"」
12分にわたる大作「Beneath The Sea (Part 1, 2, 3)」
このゲストとして登場し、正ドラマーの鈴木リカとツインドラムを展開します。
これがもう凄すぎて・・・
左右に分かれるので、その二人の特徴がよくわかるし、
甲乙つけがたいテクニックの競演がめちゃくちゃスリリング。
おそらくRチャンネルがポンタさんでしょう。
途中のソロの打ち合いも凄まじい。
一番聴いてほしいのが、角松敏生の二つの「SEA LINE」
このなんとも美しいメロディをロックとAORの両方で支える
エモすぎるドラミング。
村上ポンタ秀一の本領発揮です。
ポンタさんのプレイは古くは六本木ピットインに始まり何度もライブで観て聴いています。
その後念願なかったというか、なんと一度仕事をご一緒出来たことがあります。
いまや大先生となってしまいましたが「マスターマインドジャパン」の本間さんのデビュー、
そのショーを青山スパイラルで行われたとき、
なんとショーをドラム一本で演出するというのをポンタさんがやりました。
私は裏方としてその現場にいたのです。
何が印象に残ったといえば、噂通りの口うるささ(笑)
リハで何度も「やってらんねーよ!」を連発してはどこかへいなくなっていました(笑)
それでも本番となると別人のような集中力を発揮して、プロ中のプロを見たような気がします。
私が夢中になった音楽を支えたミュージシャンはもう70代。
悲しいことながらその数が減っていくのは自然の摂理。
しかし音楽は、いつもでも原音での残せて、それを今でも聞けるのが素晴らしい。
時代は終焉に向かうけれども、記録は活きたまま。
その記録をたどることだけは止めやしない。
数々のプレイをありがとうございました。
合掌。