アウトドアに、ポータブル電源の時代が来る!?
「そんなことないだろう」「それじゃアウトドアじゃない」などの声はあるかもしれませんが、
私が思うに、キャンプ場に電源サイトが出来始めたころだってそういう話はあって、
でも、今では電源サイトがあることに誰も異を唱えないし、不思議とも思わなくなってます。
それを言ったら「ガス器具」なんて、モロ家庭用具の延長線上にあるわけだし、
だいいち、クルマでオートキャンプ場まで行くんですからね(笑)
某メーカーからは石油ストーブだって販売されてるわけだし。
要は、アウトドアであることを主役におき、どう脇役で固めながらその環境を楽しんでみるか、
その機軸が狂っていなければ、新しい技術や機器、便利なツールは受け入れていった方が面白いと思うのです。
コンパスだけで山登りする人はもういないでしょうし、GPSに大いに助けられる時代になったのもそういうことじゃないかなと思います。
ということで、今回いい機会を得ました!
UPS搭載ポータブル電源「suaoki」G1000 を使ってキャンプをしてみることになりました。
2019年、振り返ってみれば繰り返しの台風の大きな被災がある中、
情報社会のキモであるスマホ動作の持続、生活維持のための各種電気器具の保持等、
「電気」「電源」の問題、重要性が大きくクローズアップされました。
スマホ用のバッテリーは普及していたものの持続で言えばもって2、3日でしょうか。
そういう意味でも今注目すべきが大型のポータブル電源。
今回使ってみる「suaoki」G1000 はなんと驚きの容量1100Wh(約370000mAh)超え!!
しかも3500回ものサイクル寿命がある!
この先3500回もキャンプできないよ~(笑)・・でも1000回はするつもりだけど(笑)
充電を事前自宅で行い(フルまでだいたい9時間)、キャンプ場へGO!
向かったのは埼玉県名栗にある「ケニーズ・ファミリー・ビレッジ」
都心からも近く自然あふれ、そして何よりもスタッフの対応に優れる人気キャンプ場です。
そして・・・台風19号では大きな被災を受け(現在は一部サイトを除き元気に営業中)た場所でもあり、
ここでポータブル電源を試すのも何かの因縁なのかな。
実はケニーズの川口マネージャーもこのポータブル電源には注目していたそうで、
そういう大容量ポータブル電源を貸し出せれば、キャンプ場の営業体制はもちろん、
キャンパーのたくさんの声に応えられる、と期待を寄せていたということです。
さて、キャンプサイト。
「suaoki」G1000
主要諸元は私の説明では心もとないので、公式の情報を示しますね。
最大の特徴は、
熱安定性が高く、安全性にも優れる、リン酸鉄リチウム電池の採用という点ですかね。
ノーマルなリチウムイオン電池に比して耐久性に大きくアドバンテージがあるそうです。
そしてG1000 のもう一つの特徴が「UPS」=Uninterruptible Power Supply(無停電電源装置)
これも私の説明では心もとないので、一部引用しますね。
UPSは停電などで入力電源に異常が発生した時にコンピューター等に電力を供給する装置のことです。
G1000は停電を検知すると0.01秒以内で商用電源から内蔵蓄電池の電力でインバーター給電に自動で切り替わります。人がすぐ入ることのできない場所や無人運用しなければならない場所にあるテレメータ装置、防災無線機、構内放送設備、ビジネスホンなどの交換機、インターネットの中継機や簡易ルーターといった機器の標準内蔵電池では対応できない長時間にわたる電源バックアップ、計画停電やピークシフト対策にぴったりです。
また、台風や地震など自然災害時の停電・防災対策として、組み込み用途などにも対応可能ですので、さまざまなシーンで活躍します。
アウトドアでUPSを稼働させることはないわけですが、自宅ではUPSは大いに役立ちそうです。
我が家で一番ピンと来たのは、例えば3日間旅行したとして、
その間の停電で家にいるネコさんたちの噴水型の給水機が止まったらえらいことです。
こういうリスク回避にも役立つわけです。
さて、口上はこのくらいにして実践編。
カッコイイですね。
ハードな感じがしながらも、そんなにソトに置いても違和感はないかも。
で、大きさと重さ。
最初段ボールで到着した時、正直「うわ!デカ!」と思いました(笑)
しかし・・・これが不思議なもので、初日、2日目と日が進んでくると、
「こういうものかな」と思ってくるのでナレってすごい(笑)
重さは23キロ。
いい筋トレです(笑)
ぎっくり腰には気を付けましょう。
ただグリップがご覧の通り太くてスペースも十分あるので非常に持ち上げやすいですね。
フロント。
側面。
斜め後ろから。
右側がAC入力ポート。
こういう風景が来たんですねー。
長くキャンプやっててよかった(笑)
大きいといえば大きいけど、クーラーボックスの大きさと比すればさほどでもないです。
今回、手元の操作ということもあるし、
地面に近くでは冷気を早く受けやすいことを避けるためにテーブル上に設置しました。
同封にこの箱があります。
取説とサンキューカード。
そしてコード類。
これらを上部の「OPEN」ボタンを押すと・・
収納スペースオープン。
これは助かる。
コードはもちろん、取説が手元にいつでもあるのは安心。
フロントパネル。
整理されているので迷うことないですね。
AC出力ポート。
ソーラーパネル充電ポートと、シガーソケット充電ポート。
USBポート(4口) 5V~12V/3A(2口)、QC3.0 18W(2口)。
Quick Charge 3.0では最大18Wの出力。
さらに、Type-Cポート(1口) 5V/9V/12V/15V/20V、60W(PD3.0対応)
現状でのパーフェクトですね。
DCポート(2口) DC-5521、12V/10A。ドローン、カメラ、照明器具などの充電。
シガーライターソケット(1口) 12V/10A。クルマ向けに作られたものも多いですからね。
紅葉もすっかり終わった初冬。
日中は気温7度。
ちょっと場内へ。
河川敷の被災の場所が気になります。
あのグチャグチャの状況からよくここまで戻せたと思います。
まだまだ養生の場所もありますが、これから着実に復旧していくでしょう。
穏やかな名栗川の清流に戻っています。
お、陽が沈む。
ここからまさに電源の活躍だな。
では、いろいろ持参した電気器具をつないで実際に使ってみます!
パワーオン。
プッシュしてグリーンランプ点灯。
まずはUSBからいきましょう。
ステータスはLCDディスプレイに。
USBで出力させたければ「USB」ボタンを長押し、グリーン点灯、DPに「USB」が表示されてスタンバイ。
iPhone 充電開始。
Android 充電開始。
いきなり過電流になるんじゃないのかとドキドキしちゃいましたが、
当たり前だけど全く問題なし。
※バッテリーマネージメントシステム(BMS)が常に作動しているので各種「過・・」はコントロールされているとのこと。安心。
バッテリーでバッテリー充電(笑)
ついでにBluetoothスピーカーも充電。
では、AC充電へ。
おそるおそるデジタル一眼のバッテリー。
もう、おそるおそるする必要はないんですけど(笑)
やっぱりなんでも初めてはドキドキなんで。
スマホはもちろんですが、カメラのバッテリーは、めちゃくちゃ写真を撮る私にはえらい課題でした。
特に星空撮影の比較明合成(ライブコンポジット)は3時間とか回すのですぐバッテリーが空になるので。
さぁこれからが問題。
家庭用電化機器いきます。
まずはいきないり高出力のドライヤー。
大丈夫か!?!?
大丈夫だった(笑)
3分つけっぱなし、5分断続的使ってみましたけど全然平気ですね。
うちの娘(大学生)とのキャンプの時、何を気にするかって「ドライヤー」のこと。
私のように1分で乾く(笑)ものとしてはなんでそんなにとは思うものの、
これは年頃の女性には重大なことだそうです。
まぁ、このあたりが「キャンプかよ!」とのギリギリの今のボーダーラインなんでしょうけれど。
10年後、この基準がどうなってるかな。
ちなみにいきなり1200Wターボにしたときは安全装置が働きました。
でも再起動すればエラーコードも消えて問題なく使えました。
続いてジワジワ系の電気毛布。
電源サイトで一番使われるのがこれでしょうね。
今回は私的な今後の使い方のメインとなるであろう「車中泊」を仮定しての使用です。
クルマの中こそ電化製品を使おうにも使えないので。
後部座席に置くときのこの傾斜は今後課題にしましょう。
このくらいの斜めで動作に問題あるわけではないでしょうが。
同じくACポートつなぎ、ACボタンを押して出力開始。
定格60W。
まずは早く温めたいので最強でスタート。
最強で30分、中で2時間使い続けました。
当たり前ですけど温かいです(笑)
ここでゴロゴロしてたら完全に寝そうになっちゃいました(笑)
これは病みつきですね。
確かに若いころは寒いなんてなんていうことなかったし、
それをシュラフで乗り切るのが如何にも「アウトドア!」で面白かったわけですが、
これからシニアキャンパーがどんどん出てくる時代に、わざわざ健康リスクを負ってまではできないので、
こいういう電化サポートでチャンスが多くなるのはすごくうれしいですね。
では、昔から「キャンプで炊飯器はアリかナシか」といわれている本命のコレ、いきますか。
本日のお米は群馬県川場村の「雪ほたか」
前日現地で仕入れた新米2合パック。
キャンプ場で炊飯器のお釜で米砥いだりすると、周りのみんなはびっくりするだろうなぁ。
この日は誰にも会いませんでしたが。
今度リアクションが楽しみ。
さぁ、電源繋いで準備万端。
炊飯ON。
特に何も起きない。
当たり前ですね(笑)
しばらくはうんともすんとも言わないので、
その間にPCを立ち上げてみよう。
ACつないで、充電開始。
で、起動。
はい黒猫(笑)
ということで、諸々作業など開始。
PCを使うっていうのも議論の対象なんでしょうね。
これは確かに最初に言った機軸からすれば微妙な位置になります。
ただ、最近はアウトドアオフィスという考え方やアクションはあり、
そういった場合はポータブル電源ありきになるわけです。
なかなか不思議な図です。
しかし、これもある意味「慣れ」の問題なんでしょうね。
炊飯の時間。
私にとっては今日一番のゆったりした時間が流れていました。
時は過ぎ夕暮れから夜となり・・・
きた!
炊煙が立ち始めた。
さてこの間にちょっとしたものを作ろう。
ガッツリおかずではなく、炊き立てのご飯を楽しむために、
「アウトドア的飯の友」を作ります。
めちゃくちゃ簡単。
まずネギを水にさらしたのち、みじん切りに。
それをごま油で和え、その後に軽く塩で味付け。
たったこれだけの「ネギ塩ダレ」
ずいぶんと炊けてきてるぞ。
はい、炊けました。
さぁ炊き立てをいただきましょう。
きっちり炊けてる。
当然ですけど(笑)
雪ほたか、ツヤツヤですね。
ご飯にねぎ塩ダレをのっけて・・・
ザックリ混ぜ、最後にさらっとコショーをかけて出来上がり。
アツアツねぎまぶしごはん。
わるいけど、おいしいです(笑)
気温は2度。
この寒さの中でのアツアツごはんは、正直今までにないおいしさの領域。
そうかー、こういうソトごはん、いいじゃないかー。
炊飯後、まだそんなに減ってないことを示すインジケーター。
すでに電気毛布も2時間稼働した後だと考えればさすがの容量。
続いて、カレーいってみよう。
出た!デリーの「コルマカレー」
お湯を沸かすのはガス使いました(笑)
保温されたアツアツごはんに、ホットなコルマ。
こりゃヤバイ。
この寒さで、ホットなカレーと熱いご飯。
これはたまらんなー。
この日一人でいたので、思わず周囲を気にすることなくニヤニヤしちゃいました。
炊いた2合を全部食べる気なんかなく、あまったら持ち帰るつもりでしたが、
おいしさに居てもたってもいられずお代わりして全部食べちゃいました。
ちなみに「コルマカレー」愛についてはこちらで語っております。
1時間ほど保温をしていてのち、一本減りました。
電気も食いましたけど気温2度で数時間経っていますからね。
この日のケニーズはもうクリスマス一色。
もしかしたらこのくらいの電飾であればG1000で十分にいけちゃうんじゃないかなぁ。
※あくまでもそう思ったということで実証とは違います。理論上はいけそうです。
人工の電気のありがたさを感じつつ、
いっぽう私たちに恵みこそ与え負荷を与えない月明かりを眺める。
ただ楽しいばかりではなく、
さまざまな身の回りに環境に触れ、「感じる」「考える」これもアウトドアにおける一つの享受だと思うのです。
さて、まとめの感想を。
使い勝手は何も問題なし。
そして今回での容量の実感にも全く問題なし。
零下での使用、高温(40度近く)での使用は当然していないのでこれはわかりません。
後、家庭内ですが電気毛布を2台つなげて一晩つかったところ、
バー2本減っただけでした。これは様々な条件下で異なるでしょう。
評価が人によって異なるのは、この大きさと重さ、これだけでしょう。
大きいのは現状の最上位機種ですからね。
アウトドアにおけるポータブル電源。
私はこれが標準化されるのは、技術の進化はもちろん、
やはりキャンプにおける最大の課題「マナーとモラル」、これに依存するような気がしています。
特に「マナー=相対的な道徳観」ですね。
満員時、キャンプサイトに大型テレビ持って来られても、そりゃないだろうと思いますし。
いっぽう、周囲に迷惑が掛からない状況ならプロジェクターとかスピーカーを出しての、
「森のシアター」なんて大いにありうることと思うわけです。
可能性は大いに広がります。
ノーベル化学賞を受賞された吉野彰さんは、
ストックホルム大の受賞記念講演で、
リチウムイオン電池が「持続可能な社会を実現するための中心的役割を果たすはずだ」
と言われ大喝さいを浴びました。
ポータブル電源が、今後社会的な中心になっていく可能性は、
アウトドアを取り巻く環境のなかでも同じであるような気がします。