昭和ラーメンをさがしにいくということは、
すなわち昭和を旅するといってもいいくらい。
そこには昭和の香りが必ず残っています。
しかし、令和になってすぐに昭和のことを言っているなんて、なんと自分が旧い人間だということよ・・・
①の西新井らーめんに続いて紹介したいのが、船橋にある「美松」です。
このお店、ラーメン通の人はスルーしちゃうんじゃないかな。
昭和の旅はこの「仲通り商店街」から。
JR船橋駅からは徒歩5分、京成船橋駅からなら3分。
目立たない路地を入るともうこの商店街。
商店街とはいうものの、実質的には飲み屋街的に残ってきた地域。
なのでまさにこういう怪しい場末感があります。
こういうランプ型というか提灯型の照明はもはや絶滅危惧種ですね。
こういうお店がまだあるなんて・・
そしてこの二股の場所に美松はあります。
正確には「甘味処 美松」
伊勢屋のようにお団子やお稲荷さんの店頭販売はなく、
純粋に店内のみの甘味処。
しかしメインメニューはラーメンとおでん。
なかなか不思議です。
評判のものが看板になってしまうというのはよくあります。
美松を有名にしたのは「ばか麺ラーメン」
今日は気分ではないので、これはいただきません。
甘味処というよりかは、居酒屋的な感じが色濃いですね。
この場所で続けるためには必要な変化だったのでしょう。
ばか麺には目もくれず・・今日は「美松セット」、
つまり美松の本来の主力「ラーメンとみつまめ」です。
セット内容が昭和過ぎる。
もう観光地の有名店ではないかぎり、「甘味」というものは消え去っていくのかな。
私は高校生の時のたまり場がまさに「甘味処」でした。
五反野という駅からちかいいまはもうない「一休」というお店に入り浸りをしていました。
私だけではなく、一緒の部員たちの集会所みただったかな。
あんみつ、安倍川、力うどん、このローテばっかり。
まさに昭和の話です。
マックだ、スタバだ、だって、もしかしたら令和の終わり頃には「懐かしい」なんていうことになるかもです。
さて、美松セット。
この取り合わせの妙といったら。
本体はもちろん、フォークや箸たちも含めた超ミスマッチの世界感。
やはりワカメがある。
いらないとは思うけどやはりある(笑)
麺は中太のちぢれ。
中華そばイメージではなく、やはり「ラーメン」。
昭和ラーメンと中華そばって同じようでいて同じではなく、
なんだろう、中華そばは中華料理からの進化をどこかに感じさせてくれるけど、
昭和ラーメンはより日本の日常の生活感を漂わせている、かな。
いいですね、こういうチャーシュー。
安心します。
スープはすこし濁りがあるけど、しょう油の中に甘みがある昭和ラーメンの典型のひとつ。
中華そばはもっとしょう油が立ち、スープの輪郭が強い。
昭和ラーメンはそこら辺をいい感じで気配を消した、その一歩引いた感じがいいところ。
ごちそうさまでした。
最後まで残さず食べればたどり着くドンブリの龍。
さてさて、みつまめにスイッチしましょう。
どうですか、このパステルカラー。
パステルカラーが黒蜜によって一気に別物に。
デザートとしての食欲をそそる。
へー、塩豆は赤えんどう豆ではなく緑豆というのは珍しい!
なんというか、この食べ終わるまでのゆるやかな幸福感、
何でもかんでも忙しすぎる現代とは逆行しています。
おやおや、これは珍客が。
見た目は1歳くらいかな。
いい顔つきだし、いい毛並みをしてる。
飲食店なので中には入れません。
入れませんが、ここにきているというのは・・・そういうことです。
「ダメだよ、はいっちゃ」
いちおう私の前ではそのように言いました。
けれどここの奥さんは名前で呼んでいました。
つまり、そういうことです。
お世話してくれて感謝。
またね。
元気でいてよ。
仲通り商店街は、古い店だけではなく新旧が混在しています。
こちらは老舗の「加賀屋」
漁師町、船橋。
だって地名が船の橋ですから。
京成船橋駅もすっかり様変わり。
あの「おでん種 丸六」が廃業して久しい。
JRにはいまやホテルメッツがそびえたつ。
50年の歴史がった西武船橋店の抜け殻。
そう、昭和はどんどん消えていくのです。
そういうものなのです。