実に味のある、色褪せた藍色の暖簾。
赤坂の天ぷらの名店「天茂」
どうでしょう、20代前半の訪れて以来の四半世紀ぶりになりますか、
あの「かき揚げ丼」をもう一度食べたくなって立ち寄ってみました。
赤坂サカスから日枝神社へのまさに坂の途中、
ひっそりとお店があります。
雑居ビルの2階。
変わらない。
名店が、このようにさりげない存在で居続ける・・・
そこに妙に惹かれます。
階段を上がるとそこに小さな入口。
この姿も全く変わらない。
25年の記憶がここですっと心に収まる。
小さいがとても落ち着いていてリラックスできる空間。
先代ご主人はお亡くなりになり、
現在は娘さんが代替わりでカウンターに立たれています。
女性として天ぷら店で主人を務めるのは極めて珍しいのでしょうが、
今の時代、もうそこに何かの違和感を感じることはなく、
むしろ女性主人ならでは天ぷらを賞味させてもらいたいという期待でいっぱいです。
注文に迷うことはなく、「かき揚げ丼 1400円」
そして「付き」をたのみます。
「付き」とは赤だし(100円)を付けるという意味。
もちろんそんな言い方をせず「お味噌汁ください」で何ら問題ないのですが。
白木のカウンターに置かれた盆、お茶が運ばれ準備万端。
そしてタイミングよく赤だしが運ばれ・・・
かき揚げ丼が、今目の前に。
この瞬間だけで25年前の記憶に戻れるかと言えばそれは無理。
でも、確かにこれであったというおぼろげな何かが蘇りました。
セピアなかき揚げに、オアシスのような柚子は一片。
さぁ、いただこう。
味のいい柱と小エビ。
かき揚げが記憶よりもふわっとした仕上がり。
丼ものといえども、かっこむ感覚ではなく、
味わいながら食べ進むのがここのかき揚げ丼なのかな、と。
非常に楽し気に、明るいカウンター内。
ご主人と先代の女将さんが呼吸よく連係プレー。
かき揚げが揚げられてすぐに「ジュッ」と天つゆに浸し、素早く丼へ。
この一連の作業が眺めているのも値段のうち。
天ぷら店はライブです。
ごちそうさまでした。
赤坂という街は、もしかしたら東京の中でも変化と維持が入り乱れている街かもしれませんね。
赤坂サカスなどの周囲が変わっても、中心部の基本構造が何ら変わっていません。
その代わり店の入れ替わりが激しく、天茂のような暦年のお店は少ないような気がします。
天茂のこの同じ通りのこの辺だったか、甘味の店があって、
そこのかき氷があまりに美味しかったことを思い出します。
そうしたら、こんな店舗が。
もしかして、赤坂はかき氷の聖地?
ちょっと気に入っていたスペインバルがもうラーメン店に。
早いなぁ、サイクルが。
赤坂ラーメンは健在なのですね。
それこそこのラーメンも四半世紀食べてないかも。
屋台の店主だった創業者は有名人でしたね。
今度立ち寄ろうかな。
天茂
ジャンル:天ぷら
アクセス:東京メトロ千代田線赤坂(東京都)駅1番口 徒歩2分
住所:〒107-0052 東京都港区赤坂3-6-10 第3セイコービル2F(地図)
周辺のお店:ぐるなび 赤坂×天ぷら