訃報というものはいつも突然に訪れる。
優しい方だった。
「男前」を地でいく方だった。
親分肌。
私のサラリーマン人生で、
唯一怒られなかった人。
いや、私だけではなく、
誰かを怒ったことすら見たことがない。
まず、庇ってくれる。
間違い、失敗を、
「しょうがない、次だよな。
まぁ、いいじゃないか。明日がんばれよ。」
親分とは、
子分を許すだけでなく、
黙って責任を背負ってくれる人。
だから、怒らない。
懐が広いから、男前。
理屈も言わないし、不平なんか言わない。
バスストップという歌が十八番だった。
すごくうまかった。
大笑いも、バカ笑いもしないが、
グラスを傾け、タバコを燻らすときはいつもニコニコしていた。
バーやクラブに深く腰掛ける姿がなんともカッコよかった。
新人に毛が生えたくらいだった私には、
「なんてオトナなんだろう」
と思えた。
あのオトナの雰囲気を醸し出せる人にはその後出逢っていない。
最初で最後のオトナの男、そう思う。
誰だった歳はとる。
全うできる寿命は異なる。
ただ、
ただ、
やっぱり早かったのではないかと思う。
心よりご冥福をお祈りいたします。
そして、本当にありがとうございました。
写真は、白馬五竜の高山植物
CAMERA : OLYMPUS PEN E-P5
LENS : M.ZUIKO DIGITAL 17mm f1.8