続いてPRISM3枚目のアルバム。
PRISM III【1979年作品】
和田アキラ(G)
渡辺建(B)
伊藤幸毅(K)
鈴木リカ (D)
Yasukazu Sato(P・V)
Guest:久米大作(K)
1.Echoes (Yasukazu Sato)
Virgo-9 (Akira Wada)
Promised Island (Yasukazu Sato)
2.Living For The Daylight (Ken Watanabe)
3.My Little Trick (Ken Watanabe)
4.Sunrise Cruise (Akira Wada
5.MeMories Of You ~When You Were Gone (Ken Watanabe)
6.Night Picnic (Koki Ito)
Floating Desert (Yasukazu Sato)
7. Sunshine Lady (Ken Watanabe)
8.風神 (Daisuke Kume)
9.White Spring (M.Kohnen/Yasukazu Sato)
その①で語ったここまでの感じから、森園在籍時代のPRISMのみを絶賛しているように見えたかもしれませんが、PRISM全アルバムを通して最も完成度が高いのはむしろこの「Ⅲ」だと断言します。
この洗練さ、そして驚異の演奏能力は、38年を経ても全く見劣りすることはありません。
いや、むしろ打ち込みなどデジタル化全盛の今にあっては、この「手弾き」だけの演奏力で、これほどのサウンドを仕上げれるグループはまずいないのではないかと正直思ってします。
カシオペアも演奏力では双璧なれど、このアルバムでみせるようなクリエーティブ感はありません。
1枚目、2枚目、森園がいた時の功罪は、PRISMのサウンドの広がりを解放したことに功がありつつ、一方ある意味彼のもたつきや泥臭さみたいなものが(それがいいところではあるが)PRISM本来のシャープさを欠く原因にもなっていたような気がします。
脱退後のⅢは、そのシャープさがプロミネントされ、和田アキラ本来のタイトなスピードがどの曲にも反映し、同時にギターの伸びやかさと艶感は極限に達しています。
このときの音色がおそらく最高潮で、この後徐々に徐々に偏りが出てき始めたことで、一部のファンは徐々に離れていったのかもしれません。
Living For The Daylight
いわゆるゴキゲンサウンドで、PRISMではこういうポップロックみたいな曲調は稀かもしれません。
その辺は和田アキラの持っていない部分ですし、実はメロディメーカーである渡辺健ならではでしょう。
特にハンドトラップが入るあたりはそれ。
またキーボードがオルガンとクラッシックピアノで、これがこの曲のアメリカンなイメージを盛り上げてくれています。
ここで見せる和田アキラのギターのカッコよさはこれ以上なく、
現在みたいな聴きづらい歪んだ音でもないし、変なスタッカートが入らないし。
無理がない早引きと伸びのある音のバランス、テーマとソロ、サイドワークの自由闊達度が絶好調。
こんな謳っている和田アキラはいない!
Virgo-9
曲のカッコよさ、洗練度は Living For The Daylight と双璧。
最初のソロへの入り方なんて他の誰ができるのかという和田サウンド全開。
曲全体での渡辺健のベースラインがすごいこと。当時のベースマニアは絶対ぶっ飛んだはず。
ジャコ・パストリアスも真っ青なほど。
全楽器のアンサンブルアレンジも出色中の出色。
途中2回にわたるノンディストーションのソロパート。
これ、もしかして森園に用意されていた部分なのでは?
もちろん和田アキラが弾いているけど、まるで森園が乗り移ったかのよう。
ちなみに「Virgo-9」とは乙女座9番目の星という意味かなと思います。
おとめ座にある恒星の順番で符号が付いているのが8番目のκ星までなので、
もし和田アキラがそれを知ってわざとミステリアスな「9」と名付けたのなら相当星に詳しいことになります。
My Little Trick
実に珍しいギターとベース、パーカッションだけの曲。
しかもアコースティックギター。
聴けばどこまでもスパニッシュ。
私が好きなところは、この曲がまるで前奏であったかのように次のSunrise Cruiseにはいっていくこと。
静かなる情熱、そして激しい情熱というこの流れがこのアルバムのハイライトでもあり、アルバムのキレを作りあげていると思います。
ボーナストラックには
聴いたことのない「LOST IN THE SPACE」
ジミヘンのあの 3rd stone from the sun に、森園の Planet Earth をくっつけたものだということ。
実際聴いてみるとどこからどこまでがそうなのかちょっとわからない感じもし、またなんでこの曲なの?という面白い違和感の発見があります。
レコーディングをしようとかそういうことではなく、オリジナルの制作の合間に、当時自分たちの好きな曲をいろいろやってみようとしてではないですかね。
3rd stone from the sun は相当多くの人にカバーされてますし。
ファースト、セカンドともボーナストラックが華を添えていますが、このⅢだけはあってもなくても一緒(笑)な感じです。
それだけ本体の完成度が高すぎるからかもしれません。
ところでこのボーナスにもあり、スーパーコレクションにも登場する「Sunset Cruise」とⅢの「Sunrise Cruise」の関係性がおもしろいですね。
「Sunset Cruise」が未完成、完成版になったら「Sunrise Cruise」。
テーマのメロディは異なり、ソロパートはエレキとアコギが違うだけで旋律はほぼ一緒。
当時の資料があまりないのでよくわかりませんが、シングルカット、多分森園の脱退などの狭間にあってレコーディングが錯綜したからじゃないかと思います。
そして今回初の購入となる伝説の杉野講堂ライブ。
今みたいにネットの無い時代ながら、その衝撃のデビューが風の便りに全国区となり、その初ライブに信じられないような人が押し寄せ、警察まで出動するいわゆる目黒駅までの「伝説の行列」を巻き起こしたPRISMを語るときに外せないエピソードの舞台。
1977 Live at Sugino Kodo
Disc 1
1 Morning Light
2 Cycling
3 Fred(Tony Williams)
4 Viking
5 Daydream
6 Shake Your Head
7 Midnight Tango (Al Di Meola)
Disc 2
1 風神
2 Dancing Moon
3 Beneath The Sea
4 Prism
5 Love Me
6 Tornado
7 That's What Sea Set
Dancing Moon
ファーストアルバムの収録とはソロとメインテーマは多少異なるものの、ほぼほぼ同じ構成。
ファーストの基本であるツインギターがここでもいいバランスで展開してます。
また白尾泰久のサックス、特に後半の長いソロはアルバムよりも充実していいメロディを奏でているかもしれません。
PRISM
お馴染みPRISMのテーマ曲。
と言っても本当は練習曲だったそうです。
しかしこれが練習曲だというのは当時のレベルからすると信じられないし、聴いたこっちも最初のうちは何がどうなっているのかわからない衝撃を受けました。
ちょっと驚いたのは森園が速弾きにつきあっていること。
さすがにソロはやりませんが、あの速い立ち上がりのテーマや途中の一部を弾いています。
前代未聞(笑)やればできるんですね(笑)
全編を通じてけっこう粗い演奏もあることはありますけれど、このメンバーにしてこの演奏は聴きごたえ十分。
いつかこのアルバムが消えてしまう前に確保しておいてよかったです。
今回の自分プレゼントの最もハイライトになるのがDVD。
2004年に川崎クラブチッタで行われた歴代メンバーが参加したワンナイトライブ。
その後の数回のホームカミングありましたが、おそらくこの先は二度とこういう企画はないと思います。
PRISMとしてでなければあるかもしれませんが・・
特に初期を飾った森園、渡辺健を迎えてのそれはむずかしいかもしれません。
なので映像で残っているこのDVDは非常に貴重です。
Homecoming 2004[完全生産限定版]
和田アキラ(G)
木村万作(Dr)
岡田治郎(Bass)
ゲスト:
森園勝敏(G)
渡辺建(Bass)
中村哲(Sax)
新澤健一郎(Key)
石黒彰(Key)
中島オバヲ(Perc)
Disk 01
01 Beneath The Sea
02 Morning Light
03 Love Me
04 Third World Man
05 Lady Violletta
06 The First Sky & The Last Sea
07 Tremblin'
Disk 02
08 Cool Water
09 Spanish Soul
10 Karma
11 Unforgettable
En.01 Cycles of Life
En.02 Back Street Jive
Morning Light
これは涙ものです。
森園の独り舞台。
後半のソロの盛り上がりはこのライブのクライマックスがもう来てしまったのかと思えるほど。
適当に音を外したり、エフェクトやスイッチをパタパタ変えるのはいつものこと。
とにかく森園の神髄がこのプレーに凝縮しています。
和田アキラには絶対に出来ないプレイであるから、スピードが有ろうが無かろうがPRISMに森園ありがファンには定着していると思います。
Unforgettable
新旧のベースがそろい踏みしての粋な演出。
メロディメーカー渡辺健が残した最高の名曲。
まるで映画のワンシーンを思わせる美しいメロディライン。
ひとつ残念なのは多くの人が言っているように和田アキラの音色。
ギスギスしたディストーションは全くこの曲に合っていないし、カチカチの奏法もマッチしていないですね。
発表当時のあの素晴らしい伸びやかなるサウンドとはまるでかけ離れています。
これですよ!
これでなくちゃ。
この滑らかさと速さ。
それにしてもこの当時のメンバーだった故・青山純さんのドラムの音がなんとも素晴らしいじゃないですか。
ちなみにこのJUN提供の当時のテレビ東京の番組を放送時に見ていました。
ファッションやスタイルにしびれまくりましたね。
アンコールの最後は
Back Street Jive
ちょこちょこ?なところもありすけど、お祭りなんだからへんな批評はいらないですね。
少し面白いなと思ったのは、途中のキーボードソロの掛け合いの間にかすかに数度聴こえてくるベースのスラップ音。
PRISMの演奏におけるスラップ(チョッパー)はご法度と思ってました(笑)
やってるのは岡田治郎のほうかな?
この動画にはない、DVDでのラスト、ステージで手を繋いでの挨拶の時のそれぞれの恥ずかしそうな顔。
演奏以外は苦手です、みたいな。
それ見れたことだけでもファンならこのDVDを自分のものにした価値があります。