今、一番「危うく、オモシロイ番組」
それが「全力!脱力タイムズ」
バラエティとして異彩を放つこの番組、現在大のお気に入りです。
実に、実によく出来ており、
それに関してはこちらの記事が最も言い当てていると思いますのでご覧ください。
一般的にはこの記事にあるようなことなのでしょうが・・
でも、この番組の本当の構図は・・・
実は「プロレス」なんじゃないかと思うわけです。
司会の有田哲平のプロレスマニアぶりはプロレスファンなら誰でも知るところ。
私も世代的には近いので、有田さんの語るエピソードはみな共感するものばかり。
そう思ってもう一度この番組を見直してみると、・・・
メインイベンターを張っているのは当然MCの有田さん・・
いや、そうではないんです。
実は、ゲストの二人がメインイベンター。
では、有田さんのポジションはなんなのかといえば、いわば「プロモーター」でしょう。
晩年の猪木さんの立ち位置にソックリ。
自分はプレーヤーとしてはなにかするわけではなく、しかし全体を俯瞰して、そして無茶を「仕掛ける」立場。
毎回のゲスト構図は、右にゲストタレント(だいたい番宣)、左にはランダムに選ばれた芸人。
面白いのが、芸人が「ベビーフェイス=正統派」で、「ヒール=タレント」の設定だということ。
タレントは必ず黒メガネに地味目ないでたち、そして無口、無表情、そしてある時突然にキレたりする、なんだかアンダーテイカー的なポジション。
芸人は本来の「ボケ」「ツッコミ」に関係なく、常に「ツッコミ」で立ち回ります。
それが用意されたものではないハプニングの連続、そのどんな技(無茶ぶり)にでも対応しなければならず、ある意味芸人の器量が思い切り判ってしまう過酷なポジション。
これこそが唯一のこの番組の設定されていないリアリティで、どんなハプニングも拾い、それを修正し流れを戻し、絶対に盛り下げてはいけなく、最後まで気を抜くことがならず一種の緊張感をもたらします。
器量がなかったら絶対に無理。
プロレスのベビーフェイスが担わなければならない奥行と全く同じ。
いわゆる「しょっぱい試合」になるかどうかはここにかかってます。
実際、リアルなので何人のかの芸人の回は「しょっぱさ」丸出しになったことがあります。
今のテレビでは「芸人」=安全パイというのが常識かと思うのですが、そういう仕組みがこの番組ではまるで通用しません。
この番組に起用されるというのはまちがいなく芸人としての「腕試し」になっているはず。
そして重要な役割を帯びている「解説員」。
これはプロレスでいうところの「常連外国人」といったところでしょう。
実績充分な大いなるバイプレーヤー。
それぞれが思い切り特徴と存在感を見せつつ、しっかり役割を終えて帰る。
つまりここに呼ばれる危うい芸人とは真逆の安全パイ。
これも通常のバラエティとは真逆。
またその外国人にもヒールが用意されていて、
その役割を一手に担うのが出口さんと五箇さん。
唐突にブチ切れてゲスト芸人に一発噛ますのも3回に1回ぐらいで用意されています。
そしてこの番組の大いなるアクセントになっているのが「ナレーションもの」のコーナー。
その多彩なる内容はメキシコプロレス「ルチャリブレ」
いわゆる「飛び技」
しかもその連続技がすごすぎます。
トップレスラーは「滝沢カレン」。この人の「コトバ」の飛び道具は凄まじく、どんな芸人にも真似のできない連続乱れ打ち。
次いで「ELT いっくん」。これは逆に定番技(業過用語)の期待を裏切らない応酬で、完成度の高さはピカ一。
実はたまにしか出てこない「ラッパー ACE」がひじょうにいいですね。若手の生きのいいレスラーよろしく、パワーこそないけれどスピードと技の正確性でキレのあるシゴトをしてくれます。
番組内でもはっきりと「ヤラセはOK」と公言し、進行上は用意されたものが満載ながら、情報部分に関して、そして何も知らされてい芸人のリアクションはまったくヤラセなし。
語弊があるかもしれませんが、これはプロレスのキレイな「お約束」、それの踏襲と言っていいでしょう。
※私もプロレス大ファンですから、プロレス=やらせ、という意味で言っているのではありません。
有田さんが番組の台本にかかわっているのか全く分かりませんが、スタジオの中での振る舞いはまさしくプロレスのそれで臨んでいると思われます。
そう思えば一番最初の写真で、なぜ不機嫌な顔をしているかもそれで理解できます。
他の人たちがどのようにこの番組を楽しんでいても、私は今後どういうプロレス的展開があるのかが一番の楽しみです!