「喫茶 黒猫」
この名前を見て通り過ぎることができず・・・
そしてもう一つ。
最近、「喫茶店」という場所で有効な時を過ごしたことがなく、それにしようと。
あまりにもシアトル的なコーヒー店に慣れ過ぎて、こういうシンプルで、そして街の風景にしっかり溶け込んでいるところから遠ざかり過ぎていました。
お店の軒には・・・なるほどマスターは自転車乗りですね。
マスターが一人で切り盛りしています。
またその切り盛りにちょうどいい広さですね。
どうも・・マスターはインテリアにも造詣がありそう。
必要以上のもの、そして色を排除してくれているので、気持ちがチャカチャカしません。
ちょっと濃いめのブレンドとチーズケーキを頼みました。
この時間、私にとってはかなり重要な時間を過ごしたと思います。
目こそつぶっていなくともほぼ瞑想時間です。
珈琲を喫し、甘いものを間にはさみ、小さいため息を何度かつく。
この繰り返し。
それはこの夜集中してパフォーマンスする時間が待っているので、そのための集中力を高めた、隙のないように螺子を締めた、そんな感じです。
最近の自分に一番足りないにはこれ。
この時間の過ごし方こそ実は効率以上の「ゆとり」をもたらせてくれるもの。
ゆとりって、時間から逃げることかも。
喫茶ってそのためにあるんじゃないのかな。
実際この夜その結果がでました。
いろんな猫のクリップがあるなか、私に黒猫でおいてくれるとはお目が高い(笑)
たまたまお客さんがいなくなったので、少しだけマスターと会話。
なぜこの店名に至ったのかを聴いたり、お互いの猫との関係性を語ったり。
別のお客さんがやってきたので会話は終わり。
そこでブックシェルフにあったこの2冊を借り・・・
「黒ねこのおきゃくさま」
イギリスの絵本です。
この話、我が家にやってきた黒猫ゆめと大きく重なるところがあります。
わたしが野良猫だったゆめに与えた最初もミルク。
このまま姿です。
この姿も一緒。
そしてこうやって一緒に眠り・・・それでゆめを我が家に迎える決断をしたのです。
ここでは貧しいお爺さんとの一夜の話。
ひもじい生活の中、それでもおなかを空かせた黒猫に食べ物をあげてしまい・・・
絵本ではその後黒猫は家を出ます。
話しとしては傘地蔵に近いストーリーです。
もちろん我が家は違い、毎日黒猫ゆめと過ごしています。
「近くにお住まいですか?」
「いや、千葉なんですよ」
「そうですか。それは遠いところからありがとうございます。また機会あったらいらしてくださいね」
店を出るとき、なぜか現実世界に戻った感じ。
喫茶店は本来異次元に連れて行ってくれる場所。