
人を幸せな気持ちにさせるのはとても難しいが、それを提供してきたのが名古屋駅のホームきしめんじゃないだろうか。
延べでいえば億単位以上の人になっているはず。
名古屋に出張をした人で、この幸せの門をくぐらなかった人は果たしているのかと思ってしまう。

店の名は「
名代きしめん 住よし」。
しかし、そんな正式名以上に「ホームのきしめん」という記憶がおそらく誰しものインプットだと思う。

スタンド形式の店でこんな行列ができるところを他に知らない。
新幹線は上り下りに。
在来線にも数か所。
例え名古屋で降車しなくても、過ぎ去るホームにこの店構えを見るだけでも何かの安心を覚えてしまうほど。
どんなに改装しても、どんなにモダンになっても、L字のカウンターには変わりなく、大きさも広くなったりはしない。
人が通り抜けるのがやっとのスペース。
肩寄せ合って食べることも、敢えて変えたりしない。

このシンプルなきしめんが何ゆえこれだけ多くの人を幸せにできるのか。
うどんじゃなダメなのか、そばじゃダメなのか。
そう、きしめんでなければならない。

人は誰でも自分のホームグランドを離れたら旅気分に浸りたい。
その重要な要素が「食」。
土地のそれに触れて帰りたい。
どんなに短い時間でも。

わずか5分の旅気分。
わずか5分、ちょっとだけ味わえる口福。
これを何十年も提供してきた。

丼からこの文字が見えたら、自分の帰る場所への準備が整った瞬間。
旅の終焉だ。
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JR名古屋駅 新幹線下りホーム店 住よし
ジャンル:うどん
アクセス:名古屋市営東山線名古屋駅11番口 徒歩1分
住所:〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4(地図)
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情報掲載日:2016年9月22日