
ゴジラシリーズ、いや、東宝、大映、はたまた松竹(ギララ)、日活(ガッパ)の怪獣映画は全て観ています。
なのでシン・ゴジラを観ないとならないのです(笑)
庵野監督とかにすごく興味があるとか、話題性とかも特には関係なくルーティン。

それより何より・・渋谷で映画は実に20数年ぶり。
渋谷営業担当の頃、まぁ仕事終わりに映画観まくりましたねー。
若い人は全くそんな認識はないと思いますが、渋谷って映画街ですからね。
さて、シン・ゴジラ。
思ったことだけ伝えます。
ゴジラの活動時間は全体的にかなり少なめ。
最初の登場は少しコミカル。もっと不気味に気持ち悪いくらいのがクリーチャーらしかった。
ドラマの前半は登場人物がかなり多いにもかかわらず場面転換のスピードも早く、ゴジラシリーズにあっては異例な展開。アップカットが印象的な人間ドラマの連続は機微が面白く、現実にありそうな前提と虚構の演出のバランスがとても良かった。
特に官房内部への皮肉たっぷりで、中には現実の大臣経験者ソックリさんの配役がありビックリ。(元経産相の甘利さんのソックリさん)
ゴジラも鎌倉からの最上陸の瞬間は伊福部ミュージックと相まって最高潮。
自衛隊の重火器のやり取りはシリーズ過去と一緒でまるで無力なれど、そのガチな感じはシリーズ始まって以来で新鮮。全力で無力はすごい説得力。
ところが・・・内閣の半数が一層されてからのダラダラした描写は???ばかり。
特に重要性のない人物が寄ってたかって口での説明ばかりで種明かしされていくあのありがちな演出は同じ監督か?と思うほど凡庸。
映画的、映像的なスリルもなく、まさかの経口補水ストロー作戦?で呆気なく終了。
前半あれだけあった人間の迷い、決断の曖昧さの描写は全くなし。指示どおり、お約束どおり進むだけ。
ゴジラも勝手に寝るは、反撃も元気ないわ、全然しぶとさが無くやはり別人。
話題、問題提起的になっている最後の描写もなんだか拍子抜け。
凍結した時間からかなり経っている時間で主人公たちがなんだかのんびりした会話を交わしているが、あんな異様なる光景は凍結直後に必ず確認されているはずだからあんな周囲ののんびり感はあり得ない。
それこそ世紀の大問題が放置であるわけがない。
いわゆるラストシーンの衝撃を狙ったのでしょうが・・
名作「猿の惑星」のラストの演出に比べたら全然プア。
前半はシリーズの常道をことごとく覆す革新性があるのに、後半あまりにも突然演出が劣化して凡庸になってしまったのが実に不思議。
これが私の正直な感想です。

もちろん昭和のゴジラのような怪獣チャンバラから比べたら格調高い映画です。
役者のレベルがまるで違うし。
映画の観点から初代に並び立つのはこのシン・ゴジラしかないでしょう。

ただ怪獣映画としては平成シリーズ、特に機龍シリーズのが全然面白く、娯楽の王道はこちらのが明らかに上です。
さらに言えば、平成ガメラシリーズのがストーリー性、スケール、神秘性、クリーチャー度、どれもが一枚上手。怪獣映画の観点だけなら。
とはいえ、シン・ゴジラを人に勧められるかと問われたら、「日本映画として勧める」と答えます。
もう一回観てもいいかな。