
数年ぶりに下北沢へ娘を同行して訪れてみた。
何かが違う。
人はごった返しているが、南口にどこかピンとくる感じがしない。
アンゼリカは健在だ。
カレーパンも売っていた。
けれど周囲の何かが違う。

向かいのキッチン南海も健在。
しかしやはり周囲と全然溶け込んでいない。

私の一番思い出「広島風おこのみやきおたふく」はもうない。
渋谷に勤めていた奥さんをしきりに連れてきたお店。
今は居抜きでつんく♂プロデュースのお好み焼屋「かりふわ堂」になっている。

あのライブハウス屋根裏もない。
チキンシャックの演奏を聴いたのは何十年前か。




北口のごちゃごちゃ感はあまり変わらない。
本多劇場にヴィレバンがあって、それが少し新鮮。
らしくはあるが、外来種ではある。
行きはしなかったが、下北沢に根付いたラーメン珉亭はまだあるのだろうか。






ノースサイドカフェの影も形もない。
名前を忘れたがフランス雑貨の店もなくなっていた。

ステーキハウスカウボーイはなんとも下北沢らしかったが、この通りにはもうない。
見渡せば全国区のチェーンばかり。

下北沢らしい瀟洒なカフェにでも入ろうかとは思ったものの、なんだか疲れてどこにでもある駅近の星乃珈琲店へ入ってしまった。

下北沢にこんなにガックリくるとは思わなかった。
音楽、演劇、雑貨、サブカルチャー、カウンターカルチャー・・
そんなイメージはすっかり薄まっている。
外来種、亜種に占領されて。
インバウンドの取り込みもあったのだろう。
それ的な店はあるので、サブカル観光地となってしまったようだ。
日本人はともかく、インバウンドはここも影を潜めている。

ノスタルジーは年寄りが勝手に思うこと。
自分の知っている、そして馴染みの店がなくなれば郷愁の念は深まる。

ただ、一緒にいた娘もワクワクしていなかったようだ。

私の一番下北沢で盛り上がれたのは、街歩きの雑誌angleの頃。
おたふくも、カウボーイ、イエローハウスもみなそれで知った。
angleが廃刊になったときから、自分の下北沢は終わっていただけかもしれない。


