
アウトドアシーンとビジネスシーン。まるで対極を為すこの二つが、一つの取り組みの中で融合した。
アウトドア用品メーカー「モンベル」との連携施策について~アウトドアのための機能性をビジネスシーンにも取り入れた新機軸の「WARM BIZ」スタイルを全国108店舗で提案~
地球温暖化防止の国際的な取り組みの一つとして、省エネやCO2削減を指標した製品、サービス、アクションを国が後押ししようという流れがあり、その「賢い選択」対象にモンベルのアパレル製品の一部がなったわけだ。
モンベルは、レンジャーの制服を制作したり、みちのく潮風トレイルなどで環境省との関係性も深い。
今回の連携から言うと、アウトドアで過ごせる性能を持つ着衣はそのまま日常の省エネに繋がり、地球温暖化へのインパクトが望めると言う構図。
理屈は間違いない。
しかし、アウトドアシーンのファッションをビジネスシーンに持ち込むということが、ただ短絡的に「賢い」のでないと思う。
私はアパレルにいたので、服装は自由な個人表現であると同時に、ある制限事項やトラディショナルなルールがあることが肝要だと思っている。
アウトドアの空気感を丸々ビジネスシーンに持ち込んだらそれこそ「アウト」。
アウトドアのノウハウを活かし入れるのは新しい時代がの要求だが、アウトドアファッションをビジネスシーンに漠然と持ち込むという流れにだけなって欲しくないと願う。
ノウハウを取り入れ、尚且つビジネススタイルの韻を踏み、そしてアウトドアの彩りと味付けで、時代を変化させる指標になってもらいたい。
私も実際モンベルのダウンで会社へよく行く。
けれどその時アウトドアのモンベルを着ていて楽しいとは意識をせず、通勤を守る暖かいアウターとかなり割り切っている。
でもそのダウンは週末には180度様変わりし、アウトドアを彩る派手なイエローのダウンウェアになっている。
妙な言い方だが、一度クローゼットにしまい、また出し直した気分を大切にしている。同一の服だが。

環境省は「賢い選択」をcool choiceとしている。
cool choiceのcoolは、単に実用に賢い選択をしただけでなく、賢く使い分けるファッションセンスでもあって欲しい。
モンベルのアパレルがこういう取り組みからどういう新しい答えをこの先々に導き出していくか楽しみだ。
もうファッションを引っ張るのは専業アパレルだけじゃないし、トレンドセッターだけでもない。
時代を先行するものは同時に必ずその責任を背負っている。