一言で称すると、「誠実なラーメン」でした。
特に回りに何かがあるわけでもない場所。
しかし何もないところで店を構えるというのは、そこまで行く価値を感じるお客さんがいなければ成り立たないのでしょうから、その理由に期待感が煽られます。
※手前の椅子は私が動かしてしまったもので、実際には整然としていました。
しかも、決してシンプルとは言えないくらいにいろいろなものがありどこか雑然であるのに、そのレイアウトだけは至極整然。
軽いカルチャーショックです。
店主のお人柄が反映されているのでしょう。
やれ濃厚だ、やれこだわりの・・という突進型のラーメンとは対極。
強烈なインパクトなどここにはないけれど、その代わりに「どうぞ、召し上がれ」とだけこの顔が優しく言っているみたい。
東北のシンプルなラーメンに似ていますね。
チャーシューはホンのわずかに判別のつかない何かの香りがあり、その香りとふんわりした感触が実に秀逸なもの。
他では見かけない白菜はどうも水煮しただけではなく軽い漬物風の味付けがあり、あまり主張しすぎないこのラーメンの中では唯一のアイデンティティかも。
喉越しを楽しむ麺ではないにしても、小麦を味わうタイプの麺。
オリジナリティありますね。
けれど居心地が悪いなんていうようにはまるで思いませんでしたし、テキトーに腹ごなしにするよりも、むしろ650円のラーメンに集中できるこの空間を楽しませていただきました。
これは都市部では絶対に無理です。
帰り際、お馴染みさんと思えるお客さんが入ってこられ、多少の店主との会話があったあと、「じゃ、今日はおまかせで」という一言がありました。
コース料理でもなく、上記のメニューのように品数も限られていて、にもかかわらず「おまかせ」と言わせるのがこのお店の魅力の根本なのではないか、そういうことが一瞬にしてお頭よぎりました。
誠実なお店においては必ずそこに信頼が生まれ深まる。
こういう飲食のお店に、旅の途中にで会うのは嬉しい限りです。
--------------------------------------------------------
ジャンル:自家製麺のラーメン家
アクセス:JR安房鴨川駅北出口 車5分
住所:〒296-0035 千葉県鴨川市打墨843-1(地図)
周辺のお店:ぐるなび 鴨川×ラーメン・麺料理
情報掲載日:2015年6月13日