「マンテカーレ」ってあんまり聞いたことがないですよね。
でも、お馴染み「アル・デンテ」と共にイタリア料理には重要な用語の一つとも言われています。
ただマンテカーレがなんであるかはいろいろ解釈もあるようなんですね。
一番マンテカーレが料理を美味しくするといわれているのはパスタ。
特に「アリオ・エ・オリオ・エ・ペペロンチーノ」、日本で親しみあるペペロンチーノでは最大の作り方のコツだとも言われたりします。
このマンテカーレが意味するところとは・・
①激しく混ぜ合わせる
②ソースの「乳化」工程
という二つの側面を一つで言っている、そんな感じでしょうか。
ここからは私の不得意とする化学の分野なんですが(笑)、料理のことで言うと、
「ゆで汁を最後に加える」
というのがありますよね。
あれ、マンテカーレの呼び水なんですね。
最初にオリーブオイルににんにくとタカのツメの香りを移す作業があっても、これではまだ「ソース」とはならずただの油。
それをパスタに上手に絡めていくにはこの油を「乳化」させる必要があります。
茹で上がった上がったパスタとオイルと混ぜ合わす際に、すばやく少しずつゆで汁を加えるとあら不思議(笑)オイルがトロッと乳化していきます。
そしてパスタにバッチリ絡む。すると艶やかで均一なパスタが。
これは本来混ざり合わない水と油の分子が、小麦粉のたんぱく質が溶けたゆで汁が加わることでその結合を促す、そんな化学反応。
マヨネーズというのもまさにそれ。酢と油を卵のたんぱく質で結合させている状態。
じゃあ、ゆで汁をかけさえすればいいのかというとそうではなく、ここが本当の「マンテカーレ」つまり「激しく混ぜ合わせる」という工程がその乳化を促すことになります。
なんてことはない、ドレッシングを分離からひとつにするとき激しく振るじゃないですか、あれと同じ理屈。そしてトロッとなる、それが乳化。
茹で上がった麺を絡めるなんて生易しいものではなく(笑)、激しく混ぜ合わしっかり乳化させる、だからイタリアンシェフは最後に「煽る」のもそのためだったのですね。
mantecare を辞書に照らし合わせてみると日本語の対訳は「激しく動かす」なんですが、英語で対訳させると「to cook until creamy」つまりクリーミーになるまで仕上げる、って言うのが面白いところです。
そして・・・
おかげさまでクックパッド他で常に上位で利用していただいている人気レシピ「
チキンマッシュ」はまさにこの「マンテカーレ」あってこそ。
最初の工程こそ鶏肉とじゃがいものみりんしょう油煮なんですが、最後の最後の仕上げで、鶏肉を潰し脂を出させ、そしてじゃがいもを潰すことでたんぱく質を呼び出し、そしてすばやくガガガっと混ぜ合わせると「トロッと」一体になる、これマンテカーレ以外のナニモノでもないです。
ということは、チキンマッシュはイタリア語なら、
「マンテカーレ・ド・ポロ・エ・パタータ」とかなるのかな??(笑)
天ぷらの大名人「みかわ」のご主人が、「天ぷらは素材の脱水作業。いつどう変化したかを見極めるのは凡その勘などではなく、しっかりとした科学的根拠が必ずあります。料理は科学です。」というお話をされていました。
「美味しい」という情緒を創り上げる根源には自然界の科学の世界が必ずある、そういう側面もまた大事なんだなぁ、とパスタを作りながら思う今日この頃です・・・
なんのコッチャ!!(笑)