
昨年からいろいろなところで話を聞いていました「
MORIPARK Outdoor Village(モリパークアウトドアヴィレッジ)」の出店テナントのプレスリリースが8日に発表されましたね。
日本でも初めてといっていいアウトドアに特化した複合商業施設の誕生です。

場所は
JR昭島駅前。
昭和飛行機工業株式会社の社有地40万坪の一角です。ご存知の通りその敷地内にあるのが
昭和の森、モリタウン、昭和の森ゴルフコース、昭和の森テニスセンターなどがある一大アミューズメントプレイス。昭島の駅からわずか3分。
西東京に詳しくない人が勘違いしやすいのは、お隣立川の広大な「国営昭和記念公園」。距離的には1kmしか離れていませんが「昭和の森」とは無縁(のはず)。
もっとややっこしいのは「国営昭和記念公園」近辺に「昭和公園」があり、そもそも「昭和の森」の運営が「昭和飛行機工業」なので、このあたり一体が昭和だらけ(笑)ということ。
実際の運営は「昭和飛行機工業」の関連会社「昭和の森綜合サービス株式会社」。モリタウン自体はもう30年にもなる老舗なんですね。
今年の最初、三井造船が昭和飛行機工業をTOBしたことは記憶に新しいところです。これが三井グループとのどういう関係になるかはうかがい知れませんが、ショッピングパークにも長けた三井ですからなんらかのシナジーがあるやも知れません。

MORIPARK Outdoor Villageの敷地は
2万1千㎡、約6500坪、アウトドアをテーマにした
15の店舗を構え、店舗の他に、
クライミングウォール、イベント広場、ミニトレッキングコース、ミニキャンプ場、カヌー試乗が出来る池が併設されるとのこと。

やたらめったら広くはなく、ウッドデッキを中心に回遊させるコンパクト設計です。
開業は2015年3月13日。
私の誕生日じゃないか!(笑)なんかうれしい(笑)
さて、気になるテナントですが、
A&F COUNTRY 物販、caravan 物販、Coleman 物販、Columbia 物販、CONTOUR 物販、Harvesterrace 飲食、Jack Wolfskin 物販、mont・bell 物販、MOUNTAIN HARD WEAR 物販、Salomon 物販、snow peak 物販・飲食、SWANS STORE 物販、THE NORTH FACE 物販・飲食、上島珈琲店 飲食
というそうそうたる顔ぶれです。アパレルからギアまで実にバランスがいいですし、物販のみならず意欲的な飲食へのチャレンジが数社からあるのも特徴です。
勘違いしやすいのはここは全面アウトレットではないということ。
そうではなく各社の充実した最新のアイテムでショッピングを楽しみ、飲食や体験施設とともに1日を過ごす、あくまでもアウトドア特化の滞在型ショッピング&パークです。
もちろんお買い得品は必ずあるでしょうし、アウトレット的な内容が主体になるところも出てくるかもしれません。郊外型の商業施設がそのニーズを外すと「なんだやっぱり身近で買ったほうがいいや」と感じてしまう人も少なくありませんから、なんらかの「オトク感」はたぶん演出されるでしょう。
けれど、一般消費財でさえ集客するのが難しい今、プロパー中心の、それもアウトドアという決して大きな商圏ではないカテゴリーで人を継続的に呼ぶには、この施設に訪問する価値が、ショッピング以外の何かに強く感じられるものがあるかどうかでオープン以降の成否の分かれ目になるような気がしてなりません。
今の発表の概要ではその答えとして、現代消費の基本「体験」つまり「コト」消費喚起に重きを置いているのがみえます。また「飲食」を抱き込み、時間の消費=滞在時間の確保=購買の促進という定石も踏まえています。
ただひとつ心配なのはそれらは決して継続的な消費ニーズにはこたえていないということ。
来場者の「体験」は1回体験したらもう終わり。あくまでもお試しなのでそれ自体をリピートするのは難しいプレゼンスです。しかもカヌーにしても、ボルダリングにしてもそもそもニッチなコトガラ。
ミニトレッキング、ミニキャンプはニッチより上ではあるものの、アウトドア天国の東京西部ならちょっといけばキラ星のごとくある地域にアプローチできるので、その存在価値が若干希薄になっているのではないかという懸念も考えてしまいます。それが都会の山の手にでもあろうもなら全く別の価値が付随するのでしょうが、もうすでに自然に近い地域ですから。
あくまでも展示場レベルなのかどうか・・。

飲食も今やグルメ時代真っ只中、
超強烈な個性を発揮しなければ近隣の方以外は今一度足を運ぶ要素にはなりにくいものです。おそらく今のアウトドアの標榜はライフスタイル志向ですから、飲食もきっと泥臭くない都会的な洗練をもって展開されるでしょう。
つまりそういう飲食のライバルはアウトドアに関係なくここ昭島にたどり着くまでに山ほどあり、それらを掻き分けてでもここに来るのかというレッドオーシャン的な挑戦にもなってしまいます。もちろんそういう志向の展開であるかどうかはオープンしてみなければ分かりません。全く対極的な今までにない「山ごはん」のようなことをしてくる可能性だって捨て切れません。
モンベルの経営するハーベステラスはある程度様相が予想がつくとして、スノーピークとノースフェイスの飲食がどのような提供をするか、UCCのアウトドアテイストのカフェがどう出るのか、ナニをするのか、これは注目ですね。
キャンプ関係でひとつ注目したいのはコールマンとスノーピークの直営店の同居。これはおそらく初めてになるでしょう。
スノーピークはそもそも直営店戦略ですが、アウトレット以外の直営を持たないコールマンが出店する直営店がどのようになってくるのか、そしてこのアウトドアライフスタイル総合ブランドの2大巨頭が真っ向勝負なのか、暗黙のうちに棲み分けを上手にするのか、ここはおもしろいところです。
この2大ブランドの客層が違うとはいってもそれは既存ユーザーであり、新規=特に西東京に多いであろうニューファミリー層の取り込みでは直接ライバルになるはず。ショッピングパークというフリの客層をどのような方策で互いにキャッチアップしていくのか、けっこう今後の市場アプローチへ示唆的なものがありそうです。
もし、特段なにもなかったら・・・ちょっとがっくりかなー。ぜひ期待したいです。
西東京は高尾山を始め、御岳山、雲取山はもちろん、甲州へ続く「山」一大マーケットのエントランスですし、また奥多摩という野外レジャーの宝庫への通り道でもあり、南には多摩川を配し、さらには横田基地にも程近いバタくさい香りをも持ち併せた、海外に端を発したアウトドアカルチャーとはこれ以上望めない親和性のある土地柄だと思います。
年間売り上げ目標15億。来場者予想75万人。つまり均してみれば1店舗1億レベルの予算があるということ。これは決してラクな数字ではないし、総合ブランド以外の単価が安い商材のメーカーはかなりな頑張りが必要。
しかし、アウトドアをこうやって普及する窓口というか、一大チャレンジをしてくれているのですから、消費者の一人として時に厳しくも見つめながらも、気持ちとしては大いに応援したいと思います。場所が場所だけになかなか頻繁に訪問できないかもしれませんが、1日を潰してでもここで遊ぶ日をつくりたいですね。
スノーピーク山井社長は「人生に野遊びを」と説いています。
その言をお借りすれば、このモリパークはきっと「生活に外遊びを」を、一つのカタチとして体現してくれる、その日本初の場所になってくれるでしょう。
なので、あまりに専門的に偏らず、特に外遊びに興味をもっていなかったような人が、ふらり寄ってなぜか明日のアウトドアマンになってしまっている、そんな魔法のドアのような場所になってくれたらいいなぁと思います。
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※個人的には、今後アクティビティばかりではなく、ソトあそびに関わるカルチャーとしてのショップであったり、アカデミックなアウトドアアプローチをも融合していって欲しいなぁという思いがあります。個人の感性にゆだねられた消費。
「モノ」ときて「コト」ときたら、「ヒト」主体の消費、むしろ時代感はそちらに動いていく気がしてなりません。

「お気に入りキャンプ場教えます」オフシーズンのお供にもよろしくおねがいいたします