ここまで自らの持つ「武運」をよくコントロールして使わずに溜めていたのに、あれは全く要らぬ運の放出をしてしまいました。
1-0とかでやっとの思いで勝ち抜いたのなら、断然アルゼンチンに対し優位を保ちながらの決勝と思っていたのですが、逆にちょっと雲行きが怪しいですね。
7点入ったといってドイツに脅威の攻撃力なんか本当はなく、静かな砂漠の虎(ロンメル軍団みたいに)として眠ったふりをして、ここまで色々と温存しながらジワジワ侵攻していたのに、思わぬ形で目立ってしまったがゆえ「ドイツ有利」とか、きっとマスコミから囃し立てられてしまうでしょう。
これがマズイ。
ダークホースは最後までダークホースでいたかったはず。
なんかドイツ「王者」、アルゼンチン「挑戦者」みたいな図式になってしまうのはレーブが一番望んでいなかったと思うんですよね。
前にも書いたとおり「知らない間に勝っている」、そして省エネしながら「大会巧者」であることがドイツの本来のよさだったので。
とはいえ実際には、体力も充分温存、怪我人もたいしていないし、交代選手との格差もなし(フンメルスが膝の具合悪く欠場とのウワサ、でもメルテザッカーいます)、相手が南米となれば逆に心の奥底のゲルマン魂に火がつくアウェー状態と、極めて条件的には良い環境にはあります。
そして、きっと面白くない(笑)試合運びをするでしょう。
1990年の決勝、あれも試合は面白くなかったけどドイツ優勝。
2002年のブラジルとの決勝も敗戦してなおかつ面白くなかった(笑)
西ドイツ大会だって、ただただクライフつぶしをフォクツに命じて、ベッケンバウワーもずっとスイーパーに徹した、ホントをいえば勝利だけのための実につまらないサッカーでした。
スペクタクルなサッカーはベスト8までで、その先はつまらないサッカーになるのは仕方がないです。
今日のオランダ-アルゼンチンも冷静に見れば面白くはない試合。
ということで、試合全体内容より、歴史に残るスーパープレー(ゲルトミューラーの反転シュートとか)、か、印象的なシーン(オリバーカーンの絶望、バッジョの天の仰ぎ、ジダンの頭突きとか)が「1個」どこかで生まれることに注目し、そしてあとは勝負に徹した試合を見守って楽しみたいと思います。
ところで・・・
今回「ドイツ」がここまで来るのを予想していなかった有名評論家さんがあまりにも多いこと。
それなのに、7-1の結果になった途端、ブラジルを優勝予想した解説者が手のひらを返したように「ドイツは理想のチーム」とか「ドイツは計算されつくしたチーム」とか「大会No1はやはりドイツ」とかを臆面なく堂々と言い放っているのにチョービックリ。
以下、有名人事前予想列記。
ブラジル優勝といった人
セルジオ越後、松木安太郎、福西崇史、小倉隆史、都並敏史、福田正博、北澤豪、宮澤ミッシェル、三浦淳寛、森岡隆三
高橋陽一、粕谷秀樹、清水圭、ナオトインティライミ、ペナルティヒデ、大杉蓮、ジローラモ、ほぼ全紙の新聞記者
アルゼンチン優勝予想
小島伸幸、名良橋晃
ドイツ優勝予想
金子達彦、木崎伸也、土田晃之、蝶野正洋
特に代表経験者はヒドイですね。ほぼこの方達は、テレビで一昨日以前と昨日とで言ってる事が本当に真逆でした。
金子達彦、木崎伸也さんらのサッカージャーナリストはさすがです。チームの実力やスター選手だけで判断するのではなく、過去のワールドカップで起こった「文脈」をちゃんと読んでいらっしゃる。
なので、アルゼンチンが優勝してしまったら、小島伸幸、名良橋晃というジミめ二人は俄然賞賛ですね。
とにかく、大会前から変らぬドイツ優勝で!
バカ勝ちはさすがにないでしょうから、1-0かPK戦で盛り上げてほしいです。
あ、3位か・・大方オランダとなるからブラジル応援しよ!(笑)
スコア4-1くらいでカンベンしてやってください(笑)
これが伝説のゲルト・ミュラーの決勝反転シュート。
天才ヨハン・クライフが沈んだ瞬間、そして、
世界一面白いサッカーが、世界一面白くないサッカーに負けた瞬間(笑)
しかしこの後に続くビデオを見ると、まぁミュラーがほとんど動かないで(走らないで)点をバカバカ決めること!
メッシも走らないけど、この人が世界一走らずに点を決めた人でしょう。
サッカーそのものが面白いのはベスト8まで、その後は勝ち上がる執念と思わぬドラマを楽しみたいです。