「
MACBETH」というブランド、覚えていますでしょうか。
スタジャンブームというのがその昔にあり、その火付け役でもあり、中心であったのがマクベスでした。
スタジャン=スタジアムジャンパーは当然造語で、おそらくVAN命名でしょう。本来の言い方は「
アワード・ジャケット」。
アメリカントラディショナルの旗手であったマクベスは自らの頭文字「MB」のアワードを堂々と胸に掲げ、レザーの袖、メルトンの身頃というまさしくスタジャンというカテゴリーをこれ1着で築いてしまいました。
MACBETHの生みの親は「
伊藤紫朗」氏。イトウシロウですから誰もが伊藤四郎さんを思い浮かべて当然なんですが、伊藤紫朗が先に浮かんだとすれば、それはファッションキチガイ(笑)に近い人です。
東急になる前のあの「白木屋」で紳士服バイヤーとして経歴をスタートさせた伊藤さん。その後あのニューヨーカーの立ち上げにも参加。三島由紀夫「盾の会」の制服は伊藤さんのデザインだったというから驚きです。
渋谷の東急本店の近くにあった2階建ての瀟洒な「MACBETH」はアメリカントラディショナルウェアの聖地ともされ、あのお店が無かったらそれこそBEAMSなんかは生まれなかったかもしれません。
VANとはまた違ったアメリカ文化の窓口、そんな感じでした。
ちょっと強面ですけど、決してそうではなく(笑)、お話もいかにもアメリカンな会話を得意とされ、私もメンズファッションMD時代目の前でお話を聞く機会が何度もありよい経験でした。
その「MACBETH」を聞かなくなって数十年・・・
それがこんなところで復活を果たしているとは知らず、ただただ驚きです。
MACBETH JEANS COMPANY
イオンにての展開。
詳しい生産背景はわかりません。ただこの名前を冠するということは・・・タグを見るとたしかに伊藤紫朗氏のアンダーライセンスだと記されています。
業界的な言い方としては「岐阜アパレル」のテイストのそれ。当時の、あの明るく、健康的で快活、そしてアカデミックなMACBETHをここに見ることはありません。
このファッションを評論する立場には今はないので、それ以上は言いません。
ただ、MACBETHをオンタイムで知っていた一人として、MACBETHとMACBETH JEANS COMPANYを結びつけるのは止めることにします。
だからこのMACBETH JEANS COMPANYに、スタジャンの登場を期待したりはしません。
さて、スタジャン。
私の出身校、立教大学は一時期スタジャン天国とも言われており、10人に8人は「R」マークのスタジャン姿だったといっていいくらいの人口密度でしたね・・1980年代~90年初頭にかけて。
それは間違いなくMACBETHの影響があり、立教の先輩である伊藤紫朗さんに関わりがあっただずだと思われます。
実際、マクベスに発注していたサークルも多く、「アワード・ジャケット」をベースにしたスタジャンも多く存在しました。
今はすっかりその鳴りを潜め、立教でスタジャンを見るのはOB会くらいなものでしょう。
私も手放してはしまいましたが、在学中2つのモデルを作り、Rのアワードに「
St.Pauls」と入ったもの、そして「
RIKKIO」(なぜか当時”
RIKKYO”とこれが混在していたから不思議です)と入ったものがあり、内1着はMACBETH製でした。
立教大学のあの校舎に最も似合う服は、やはり今をもってしてもRアワードのスタジャンじゃないかなぁ・・・