トリプルアクセル。
これの何がすごいのか正直少し前までよく分らなかったし、他の3回転ジャンプとそんなに違わない、むしろ4回転に遠く及ばないんじゃないのか・・・そんな風にしか思っていなかったのです。お恥ずかしくも。
それが、全く逆の価値観「トリプルアクセルはすごい」と思ったのは、数ヶ月前のあるテレビでそのヒミツを解説しているのを観てからです。
驚きました・・・これはとんでもない大技ですね。
当然フィギュアに詳しくは無いので、ウケウリと自分の実感だけで以下をお伝えしますね。
他の3回転ジャンプ、そして4回転と決定的に違うのは・・
「前向きに跳ぶ」こと。
よーく考えてみてください、後ろ向きに踏み切って回転に勢いをつけるのと、前を向いて3回半も回るって、ゼンゼン異なる似て非なるものじゃないですか!?
例えていうなら、円盤投げを前を向いていきなり投げるようなものです。ジャンプなんかやらない自分でさえ、回転するイメージをアタマの中でしてみるならゼッタイに後ろ向きになって勢いをつけるイメージしかできません。前を向いて回転するなんてどう踏み切っていいのかすらイメージできません。
これはすごいことです。
しかも考えてみたら前向きに跳んで、3回転して、後ろ向きに着氷・・・これはあの状況で3回転以上の「3回転半」を飛んでいるということなんで、やはり驚愕です。
過去トリプルアクセルを試合で飛ぶ人が少ない、その理由が分りました。誰でもできるものじゃないし、この難易度からして相当決断が要るのでしょう。
いつも浅田真央選手があれだけ「跳ぶのか、跳ばないのか」が話題になるのも当然というものです。
ここに面白いまとめ動画があります。
これまで公式・非公式でトリプルアクセルを跳んだティファニー・チン、キミー・マイズナー、中野友加里、トーニャ・ハーディング、浅田真央、伊藤みどりの見事なトリプルアクセルだけを集めたものです。
これを見てシロウトなりに気がついた、浅田真央選手のトリプルアクセルと他の選手の違う点がありました。
前向きに跳ぶトリプルアクセルは右足を思い切り振り上げることで勢いをつけるようですが、よーーく見ると他の人がグイーンと振り上げたままその勢いを最初の回転まで加えているのに対して、
浅田選手は振り上げた右足を揃えるのがものすごく早く、そのおかげでクルクル跳んでいる姿が誰よりもピーンとしています。
他の人の力強い独楽みたいな感じから比べれば、一人だけ細い高速ドリルみたいです。
また着氷もちょっと違うようで、多くの人がドスンと落ちて、身体を沈めてから、バッと少し大袈裟に手を広げるように見えるのに対して、浅田選手は身体を沈めることなくあっという間にサッと軽やかに手を広げています。
どちらがいいというワケではないのですけど・・しかし、浅田選手のトリプルアクセルはどの選手よりも「簡単そうに」跳んでいるように感じます。他の選手はギリギリで跳んでるのに。
ものすごく難しいものを簡単にやってみせてしまう選手こそ、超超一流のアスリートたる所以じゃないでしょうか。
イチロー選手の流し打ちもそう。メッシの足から離れないドリブル もそう。みな恐ろしく簡単そうにこなしているけれど他の誰にも真似できない高度な技。
そして・・・
こうやって他の選手を見ると、史上初めて女子としてトリプルアクセルを跳んだ伊藤みどり選手のすごさも改めてはっきり分りました。
ものすごく高い!
そして、滞空時間が長い!
着氷動作がまた浅田選手の軽やかさとは真逆のドスンと落ちるためか、その反動はまるでゴム鞠のよう。しかしこれはものすごい高さの証しなんでしょうね。それにとびきった時のあの「どうだ!」と言わんばかりの笑顔。上手投げを決めた朝青龍があんな笑顔で握りこぶしを作っていたのを連想します(笑)
いや、あのスケートシューズを履いて、あの硬い氷から何であんなに高く飛べるのでしょう。
アクセルとは自動車のアクセルではなく、アクセルさん(笑)が跳んだのでトリプルアクセルらしいのですが、こうやって見てみるとあの前向きに思い切って勢いをつける=まさにアクセルを踏んでいるから、そういってもいいくらいです。
とにかく、以上のように、トリプルアクセルはものすごい。
ソチ五輪、強力なライバル出現でかなりきつい状況でしょうが、どうか世界一見事なトリプルアクセルを決めて欲しい、そう思います。
------- 付け加え -------
この記事を書いたのはもうずっと前のこと。
その後、浅田真央さんはもちろん、紀平梨花さんのトリプルアクセルが話題になるたび、
ありがたいことにこの記事を検索で探り当ててくださいます。
特段アップデートはせず、このまま置いておきます。