そして、江崎さんの膨大な試行錯誤の繰り返しを経てこのアイテムがとうとう商品化されました。
その名も「cotton KOKAGE wing」コットン・コカゲ・ウィング。
細部まで Made in Japan に執心したこともこの「木陰」というコトノハにはきっと込められているのでしょう。
商品のスペックや細部のディティールの解説はこちらをご覧ください。
私がそこをどうこう言うのは誰一人期待していないので(笑)
私が注目したのは別の視点です。
イングリッシュ・ドレープ・スーツという言葉をご存知でしょうか。
大概の方はあまり聞いたことがないかもしれません。
ロンドンのサビル・ロゥはジェントルマンズスーツ(背広)発祥の地。このテーラー=職人がとことん研究したのが「ドレープ」シルエットです。
このドレープの歴史は実を言うと服飾の歴史そのもの。
このドレープをどう出していくか、これを永遠に求めているのが服飾の歴史といっても過言ではありません。
では何がドレープかというと、ドレープの語源はカーテン。あのカーテンに出来るひだ。あの優雅なカーブ。そしてそれが転じて「オチ感」と表される、地球の引力に合わせて出来るストンとしたシルエットのことです。
タープに戻ります。
なぜならもしそうでなければコットンである必要はありません。
確かに世にあるタープでは「稜線」の美しいものはたくさんあります。
しかし、この cotton KOKAGE wing が醸し出すドレープのような重量感が出ているものはありません。
化繊に比べ綿は圧倒的に重い。しかしその重さゆえ地球の重力がより多く引っ張ろうとします。その引っ張りの強さ、それが「ドレープ」であり、ドレープシルエットを生み出すわけです。
綿は機能的に・・・もしその価値観であるならこの cotton KOKAGE wing はそもそも選ばないほうがいいでしょう。
また天然素材の持つ宿命である引き裂き等を避けるために3重のヘムであったり強度なパイピングや補強がされています。
そしてもうひとつ。
それが「陰」。
子供の頃めいっぱい遊んだあと、神社の軒下やら大きな木の陰で休んだ記憶があります。あの時の「陰」は本当に濃かった。
そして時間とともに、つまり太陽の動きとともに少しずつ移動し、まるで太陽が「こっちにおいで」とメッセージしているようでした。
この cotton KOKAGE wing が作り出す濃い陰はそのメッセージの再来。
そしてこれもドレープなのかな。「ひだ」なんですから。
地球の引力が作り出すシルエット、
木綿がもたらす濃い木陰、
いずれも、自然からの贈り物。
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