SAMの全国食べある記

◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン

◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_23503927.jpg

派手さは無いけど、マジメに、常に手を抜かず、レベルを常に一定に維持する、これは企業であろうが個人経営であろうが、最も困難なタスクではないかと思います。
その難しさをたった一人で、いやたった一人だからこそやり抜いている、そんな人がいます。そしてそれがこの一杯に集約されています。


◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_23511299.jpg

店の名は「かぶとや!」。店名の由来はわかりません。「や」で終わっていても「家系」とは無縁。
この店の特徴は「揚げねぎ」。






揚げねぎ・・・そう聞いて渋谷の「喜楽」が思い浮かんだ方は相当なラーメンツウ。
ご主人にお話を聞いたところやはり喜楽にて修行を積まれたそうです。ということはお店で何度もすれ違っているわけだ・・・

◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_23511763.jpg

店主は若く、たった一人。お店は駅からは近くなく、駐車スペースも無い、場所柄的には全然恵まれていません。



◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_23513696.jpg

ではなぜここに店を構えたか・・・実は正確には店を構えたのではなく、ここは過去あのラーメンの鬼佐野実氏の(お弟子さんの)「支那そばや」があった場所で、その撤退とほぼ同時に居抜きをした経緯があります。なにしろそもそもレベルの高い調理器具が有り、しかもこのように「器」を全部残していったのですから、若い店主が最小の負担でここでスタートできたということが容易に想像できます。


◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_23523241.jpg


そう、このインターフェイス、これは間違いなく「喜楽」の血を引く”顔”です。揚げねぎはもちろん、半熟ではないが味がしっかり入った煮玉子、そしてもやし。間違えありません。



◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_23523997.jpg


この揚げねぎ、ねぎというから長ネギを想像しがちですが、実はエシャロットとのブレンド。これが独特の甘味と香りを引き出しており、スープの輪郭を何倍にも増幅してくれています。



◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_23525024.jpg


まったくと言っていいほどコビの無い店主は、ぶっきらぼうとかではありませんが愛想は決してなく、でも人当たりが悪いわけではありません。そういうことに振り向けるパワーを内面で使っているようで、とにかく一杯一杯を作ることに集中しています。器は必ず温め、チャーシューは注文を受けない限り切りません。これをどんなに忙しいときもどんなににヒマなときも常に一定のペースで成し遂げます。



◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_23533226.jpg


この店のもうひとつの看板はこの「もやしメン」。



◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_23534559.jpg


この「もやし」は”料理”です。トッピングなんかではありません。



◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_2354155.jpg


店主によってしっかり料理されない限りカタチになりません。それもいついかなるときも高レベルのもやし炒めが麺に乗ります。



◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_2354221.jpg


だいたい多くのもやしを乗せたラーメンは、食べ進むうちにもやしが柔らかくなってしまうのが常ですが、ここのは最後までシャキシャキ感が失われません。それは強力な火でもやしに薄い油の膜が高速コーティングされるから。だから”料理”なのです。



◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_2354272.jpg


ここで使われる麺だけは喜楽の平打ち麺とは異なり、中太縮れ麺。下町の某著名製麺所への発注。



◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_23421940.jpg


ワンタンメンも喜楽の血筋をちゃんと受け継いで大変美味しい。



◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_2344753.jpg


矢沢永吉の名曲に「この人に賭ける」というフレーズがありますが、まさに一杯一杯に賭けている感じ。しかも極めてクールに。



◆どんな一杯にも手を抜かない ~かぶとや 揚げねぎラーメン/もやしメン_b0008655_23543793.jpg


いつかこの場所を離れるでしょう。そして借り物の「支那そばや」の器も卒業するでしょう。その日はきっとやってくると思います。手を抜くことを知らないラーメン職人に必ず次のステージが待っているはず!




by sammag | 2013-03-15 08:43 | SAMの全国食べある記 | Trackback

人生は旅。旅は人生。日々は扉の向こうとこちら側。キャンプ・食・星・日常を綴る、アウトドアライター・キャンプブロガー・JACインストラクター/講師・温泉ソムリエマスター/温泉健康指導士・星のソムリエ® ・exite公式プラチナブロガー SAMの人生キャンプブログ


by SAM