その時に毎回味わうことができた「へぎそば」も、その雪とともに忘れられない。
布海苔がつなぎに使われる緑がかった独特の色合いと食感は、その後東京においてはなかなか楽しめなかったのだが…。
ところが意外なところであの味を発見。店名はタイトル通りだが、形式はなんと立ち喰いそば。不思議なことにフロアマネージャーがそこにはいて切り盛りをし、サラリーマンがおつまみで立ち呑みという光景が繰り広げられている。昼間はこうではないようだが、ちょっと面食らってしまう。
へぎは品書きにないので、もりを注文。これから茹で始めるという。しばらくして目の前に運ばれたのは正しく「へぎそば」の色と艶。期待とともに口に運ぶとキリっと冷たく、食感も本場に引けを取らない。辛口ごのみの江戸っ子には物足りないつゆではあるが、どっぶり浸けて食べるへぎそばを考えればこれで充分。
懐かしい気持ちの中お店を出ると、十日町の雪には程遠いが、ほんのり粉雪が舞っていた。
忘れかけていた2月の記憶が一瞬にして蘇った、ある日の一夜。
そばはラーメンとともに郷土色があるので、各地の楽しみの一つですね!