ほんとうにびっくりしました。銀座最後のバラック、「
ニューキャッスル」が今月末をもって閉店なんて。何しろ多くの人に永きにわたり愛されてきたのでまたたく間に世間にも知れ渡りました。このお店のウリ「
辛来飯=カライライス」がもう食べれないなんて・・。
銀座に多くの昭和の面影がまだありますけど、こういう低層の建物は中心街、しかも目抜き通り沿いでは皆無なんじゃないでしょうかねぇ。
お店の後ろ側を見ればご覧のとおりバラック。この老朽化で閉めざるを得なかったようです。
先代の名物のご主人。私がこのお店を始めて訪れたのは大学2年くらいのこと、ちょうど半世紀前です。そのころもうこの写真の感じのおじいちゃんだったことを記憶しています。
メニューについてはもう説明する必要すらないですよね。そのくらいに知れたこと。左の写真の方が2代目のご主人、てっきり息子さんと思いきや、お婿さんなんだそうですね。いつも笑顔をでいらっしゃいます。奥様ともどもお店を去るときに「いってらっしゃいませ!」といってくれます。これが銀座という街で飲食店を営む方の「礼儀」なのかなぁ、と思いました。
蒲田です。ご存知のとおり一番多い量とはなってますが、男性にとっての普通盛り、女性に取っての大盛りくらいの量。なにがいいってライスに対してルーがけちってかかっていないことです。
このカレーの味は唯一無二。もしかしたら近しいものは食べてるのかもしれませんが、ここでこれを食べること、この味にここで出会うのは、この建物の空間でしか許されない、だからどこのどのカレーとも違う、大げさに言えばまるで違う、そう感じさせてくれるものです。冷静にみてみますと、このベースのカレー粉はC&Bじゃないかなぁと思うのです。それに果物系の甘味ととろみ、もちろんタマネギも。動物性の香りはあまりなく、肉そのものの形跡もありません。もしC&Bであったとしてもこの辛さはそれ以外に何かありますね。それが一番の特徴になるものではないかと・・。
いずれにしてもこの美味しさがもう味わえないなんて・・・とにかく舌にこの味を刻みながら食しました。
たいてい目玉焼を載せたカレーは味が崩れます。しかしこの辛来飯はそれが全然ありません。味がまろやかになるとか良く言われる目玉焼き乗せですが、これはそんなんじゃなくしっかりした”具”です。
噂によれば再開の予定はないとのことで、おそらく本当にないでしょう。そして池袋の大勝軒のように伝説となるはずです。もしかしたら大勝軒がつけめん(もりそば)の聖地となったように、カレーの聖地となるのではないでしょうか。