息子が「けっこういいから行ってみなよ」といっていたヘアカットの店で、彼がそこを使う主な理由は¥1000という安さ。その手のワンプライスは少し敬遠していた感もあって、ずっとそこへは行きませんでしたが、ある時気まぐれで道を変えて帰宅したとき、その店の前を通ってパッと見で「おやっ!?」と吸い込まれるように見つめてしまいました。それはまず非常に小さい小さい店だけど、イギリスの田舎風のレンガ造り(実際はレンガタイルだと思いますが)で、なおかつ店の名前が「!!」。というのも息子も、奥さんもその店を「メルシー」と呼んでいて、その音からイギリス風ではなくむしろフランス風(じゃなかったとしても英国調ではない)と勝手に想像して、まさか「MERSEY」=マージーをメルシーと読み間違えているとは思わなかったのです。つまり、レンガ造りの外装、そして「マージー」という名前、これは相当な英国通の店主なはず。「マージー」というのはリヴァプールにある川で、ビートルズに代表するリヴァプールのシンボルなんです。浪速の道頓堀みたいな・・・違うか(笑)。
そして店内に入ると、おっとびっくり壁一面英国関連のカルチャーやスポーツのポスターなどでいっぱい。出迎えてくれたご主人は30代前半くらいのすらっとしてとても優しそうな感じで、いでたちもいわゆる床屋ルックではなく、裏原系っぽいTシャツにジーンズ。このときは特に何も会話をせず「初めてでいらっしゃいますか?」〜スタートして、マスターの丁寧な接客に任せてカットをお願いしました。そして終了の支払いと同時に始めて「イギリス好きなんですね」と声をかけてみると、思いっきり相好を崩して「そうなんですよ〜!」と満面の笑み。とにかくロンドンを起点にしたイギリスが大好きで、ビートルズとサッカーには目がない様子。店のBGMもビートルズ。だからこそビートルズの出身地リヴァプール由来の「MERSEY」を店名に着けたものと思われます。この写真にも写っている「MERSEY BEAT」こそビートルズのサウンドの代名詞。ロンドン、湖水地方、エジンバラなどの話でお互い盛り上がり、すっかり長居をしてしまいました(次のお客さんがいなかったので)。
数年前から流行っているJRの駅などにある¥1000カットサロン。要は洗髪、髭剃りを省いて時間とコストをカットしたことで人気を博し、それはそれで衛生面がどうとか、価格破壊とか、物議を呼んでいます。
しかしこの店が¥1000である理由はこの事がないわけじゃないでしょうが、元来イギリスではヘアカットと、洗髪、髭剃りは別で、いわば後者はオプション。むしろそれを望むのはリラクゼーションに近いところがあります。洗髪はしないので最後に吸引で細かい髪の毛を取り除くのですが、私のような残り僅かな後頭部にはこれは恐怖(爆)。もしダイソンでやられたらその名のとおり大損です(爆)。これは冗談ですが、このBARBER、もうえらく「お気に入り」となりました。もしかして英国調BARBERなんて、首都圏でもここだけなんじゃないでしょうか。若いマスターは、出来た貯金でロンドンに行くのが楽しみで楽しみで仕方がない毎日だそうです。
いいなぁ!本当に!
※店内はマスターの許可を得て撮影しました。