賛否両論、それを作り出すのもエポック。キャノンという会社の仕掛けはニコンだろうがオリンパスだろうが、束になってもそこは勝てないでしょうね。その後永く続くブランド「Canonet」の初代機。自動車のカローラもそうである様に、一発目のインパクトがどれだけ強いかでその永続性が決まるのかもしれません。何ゆえインパクトが強かったのか。それは掟破りの低価格。なんでもそうですが暗黙の一定水準価格ラインというのがあり、それを大手が自分自身で破れば当然「価格破壊」になるわけです。それをやってのけたこのCanonet。発売価格、¥18800。当時のニコンだとNIKKOREX35は約4万ですから。こりゃいかんでしょう(笑)。とにかく爆発的に売れたそうです。
で、安かろう悪かろうなら売れるわけがないですから、内容が問題。シャッタースピード優先EEのオート、距離計連動式のマニュアルで、フォーカスは二重像合致式。シャッターもコパルSLV( 1秒~1/500秒)がおごられてます。またシンプルなデザインながらロゴマークの彫りがバランスよく、高級部品、内容充実、扱い易い、これで低価格。そりゃ、売れますね。
とっても変わってるのが折り曲げ可能なトリガー100度回転の巻き上げレバーが底にあって、これの操作がまるで機関銃みたいな優越感(笑)を与えてくれます。その後採用されなかったことを考えると決して使いよいものではなかったのでしょうが、とにかく面白いです、これ。
レンズはセレン光電池のサークルアイに囲まれたCANON LENS 45mm F1.9。これまた明るいレンズが着いているのが魅力的。しかし関係ない話ですが、このカメラ700gあって、まぁ重いこと。この重さにしてこれだけ売れたのは、それをも凌ぐ価格の魅力があったのだろうと容易に想像できます。
さて、作例です。
何しろ1961年製のカメラに多くを期待しても・・それにキャノンだし(爆)・・と正直思ってなめてかかりましたが、はっきり言って驚きました。「価格だけ」じゃないですね。
そう思えた初撮りの対象は「幕張新都心の午後」。新都心でも個性的なマンションが立ち並ぶ住宅街”パティオス”の方です。ここは一角ごとにデベロッパーが違うので、従って同じデザイン、同じカラーが存在しない不思議な空間です。そのためやや未来都市風なので数々のドラマ・映画のロケに使われます。私もここでオダギリジョーを20回は見ています(笑)。それにここを選んだ理由はこの古い蔵亀が出来た1961年、ここは海で何も無かったところです。その時を越えたギャップも作例にいいかなぁ、と思って。
撮影があまり条件のいいとは言えない午後3時くらいにはじめたので、むしろそれを利用して途中から逆光写真に切り替えてみました。















一眼に勝るとも劣らないシャープで深い描写力を持ちながら、手軽な操作のレンジファイダー、これで価格半分なら売れない理由はないでしょう。当然ここで釣っておいてその後キャノン沼に引きずり込む・・・クルマもそうですが、一度ブランドが決まると何故か離れない、それをずば抜けたマーケティングと適度な技術力で引っ張り込む、50年経っても変わらないんだから不思議なものですね。
◆CAMERA : CANON Canonet (1961)
◆LENS : CANON LENS 45mm F1.9
◆FILM : KODAK GOLD 100


