マスター雑話

韓国VS日本 そして、『メキシコの青い空』

韓国VS日本 そして、『メキシコの青い空』_b0008655_20284883.jpgおめでとう日本!そして、韓国すばらしい!
日本と韓国、「野球の世界大会」でその最後の一戦を交え結果も出ました。私個人はすでに昨日「日韓」で世界一を競ったということに感動し、ピークを迎えました。決勝戦はあくまでもその余韻として楽しませていただきました。なぜかというと、どうしても、どうしても1985年のことが忘れられないのです。



それは野球ではなくサッカーのこと。野球はその当時鎖国に近いというか外国人選手を受け入れることはあっても、日本人が外に出ることはなく世界との交わりは一方向。それでも可能性だけの話でいえば大リーグ(当時の言い方)で通用したであろう選手がいましたし、何よりも国民の多くの興味を捉えていた”メジャー”スポーツでした。それに比して決して球技としての人口は少ないわけではないのに常に”マイナー”であったのはサッカー。言い換えれば国民の見る側としてはプロフェッショナルなスポーツという認識はほぼ無し。しかし1985年のサッカー日本代表が「世界」への扉をこじ開けようとしていた事実を「ある一瞬」によって国民にそのことを呼び覚ましてくれたのです。それがあまりにも(サッカー好きには)著名な木村和司が放った「伝説のフリーキック」です。そしてその相手は韓国。韓国はすでにサッカーで世界を観ており、レベル向上に官民の力も注がれ、一方日本はサッカー冷遇は変わらず。今でこそ若い方はサッカーにおいて日本と韓国はよきライバルという認識だと思いますが、当時その実力差は歴然で、Wカップ出場への道も日本は茨の道を歩んでいました。そしてメキシコWカップへの1985年のアジア予選、韓国対日本。実力差どおり圧倒的に押されるものの1点を韓国に入れられ、その1点の重さにもうダメだと誰だと思っていたときです。ゴールから40mの位置での日本のフリーキック。蹴るのはMF木村和司。現代表であれば中村俊輔に等しく、ちょうど右サイドからの攻め上がりを得意とし、名フリーキッカー。それでもこの位置からではどうにもならない。あまりに遠すぎる。いや、何かが起こるということはそのときの実力差の中で起きることすら予想だに出来なかったことと思います。そして木村の放った一撃は・・・



そう、単に1点が入っただけではない、この意地の同点は「もしかして日本は韓国に勝つことができるのでは!?」と、一瞬にして全ての空気を変えてしまい、そしてその先に「Wカップ」というものがあるんだ!という扉が開けられたのです。それを国民に知らしめたサッカーに於ける世紀の名言をその直後放ったのがNHKの山本アナウンサー(この人、金子アナウンサーとともにサッカーを知り尽くした方)の一言、このフレーズです。冷静にして、最も美しい言葉で。

「東京・千駄ヶ谷の国立競技場の曇り空の向こうに、メキシコの青い空が近づいているような気がします」

残念ながらこの後韓国に執念の1点を返され敗戦・・・
私は今この美しいフレーズを書いただけでも涙が溢れてしまいます。それはサンディエゴの空の下で戦った「ワールド=世界」の名を冠した大会で日本と韓国が最高の試合をしたことがやっぱりあったからかもしれません。最初に書いたことと裏腹ですみません。今回のWBCでも何かのフレーズが飛び出してこないかと期待していたのですが、今のところは「侍ジャパン」という象徴の言葉以上のものは出てきていないようです。イチローの「神が降りた」も名言ではあるとは思いますけど、語り継がれるまでにはならないでしょう。心に残るフレーズはどちらかというと悲劇的な中から誕生しやすく、優勝の歓喜からは案外出て来ないのかもしれません。それはそれでいいのですよね。言葉以上の歓喜の印象もあることをWBCが教えてくれてるかもしれませんし。

韓国VS日本 そして、『メキシコの青い空』_b0008655_20552981.jpgいずれにしても日本と韓国が世界の頂点を野球で競い合うようになった事実を糧に、サッカーにおいても更なる両国の高めあいがW杯の決勝リーグで行なわれることを夢見たいものです。
まずは先に世界一に、それも2大会連続(ここ重要。もしかしたら今後連覇ということが起きないかもしれないのですから、偉大なる勝利であった可能性があります)国民の一人として歓びをジワジワと味わいたいと思います!

<サッカー好きの方だけに>
この「伝説のフリーキック」は何がすごかったかといえば、実況にあったように「曲がって」「落ちた」こと。通常「曲がる」か「落ちる」かで、名手中村俊輔にしてもこれを超えられるフリーキックを代表として蹴れるかどうか・・。この両方が起きた事を奇跡として「伝説の・・」と冠されたと言う話もあります。ご覧いただけば分かるように壁を大きく曲がりながら通り越し、さらにはこのままではバーの上を通り越すような高い軌道から急速に落ち、どんなキーパーでも取ることが出来ないであろう場所に吸い込まれた、全てがパーフェクトなキックですね。「フリーキックの魔術師」とも言われる由縁でしょう。

<イチローという名前>
日曜日サンジャポをみていたらイチローの実のお兄さんが出演していました。え!?ということは「次男なのに」名前がイチローだということに気が付きました(笑)
Commented by ジェット天秤 at 2009-03-24 21:06 x
SAMさん こんばんは。

WBC優勝おめでとうございます。

85年のアジア予選は今でも忘れる事の出来ない試合でした。

まさしく自分がサッカーをしていた時代です。

落胆と希望の持てたこの試合でプロ化に加速したそんな試合でした。

しかしSAMさんの引き出しの多さには本当に頭が下がります。
Commented by cozy at 2009-03-24 21:21 x
渾身の一撃を渾身の文章で書かれていることに敬意を表します。

しかし、美しい弾道が歴史を変えたに値するものであったことを初めて知りました。ここからドーハの悲劇を乗り越えて、ジョホールバルの歓喜に繋がるのですか。

現在、安心しながらTV観戦してますが、結果が分かっているだけに安心しながら一杯やれます(笑)
Commented by みーすけ at 2009-03-24 21:55 x
まずは日本チーム優勝おめでとうございます!!

SAMさんのサッカーに対する熱い思いが伝わってきます。
往年のサッカーファンはこのプレーを抜きに日本サッカーを
語れないですね。
韓国から「永遠の格下」と言われていた日本サッカーも今や
「永遠のライバル」にまでなりました。
このプレーから始まったと言っても過言ではないでしょう。

次はサッカー日本代表ガンバレ!
Commented by まなちゃん at 2009-03-24 22:32 x
サッカーのことは詳しくないので分からないことも多いですが、日本と韓国の力一杯の戦いはとっても気持ちがいいなぁって思いましたV(^^)V

イチローさんはやっぱりかっこいい~~(*^^*)
Commented by ザッキー at 2009-03-24 22:58 x
いや~
生まれてないから・・こんなフリーキックはじめてだす・・

こんなところで・・ いかがでしょう・・??  (笑)

むかしイチローが鈴木一郎だった頃・・ジュニアオールスターで
ホームランを打ったり・・「パンチ」と「イチロー」が一斉を風靡したり・・
イチローよ!こちらのブログを見ていたら・・戻っておいで!オリックスに! 
Commented by 桜並木 at 2009-03-24 23:09 x
本日も素晴らしいプレー、球史に残るものがあったような気がします。

そして何よりも日本と韓国がその舞台に立ったことを誇りに思います。
ポンジュングン投手もそのことに触れていました。
ライバルのすがすがしい気持ちが嬉しかったです。
Commented by Solus at 2009-03-25 00:45 x


 え!?


イチロー、長男じゃなかったの~!?


って、すいません、そこじゃないですね。 ^-^;)


私も感動しました。


実に5度目の対戦にして、最高の試合でした。


まさに世界一を争うに相応しい見応えあるゲームでしたね。


それにしても、2連覇は素晴らしい! 出来すぎです。


このチームから、またメジャーへ行く選手がでちゃうのでしょうね。


行かないで~!ダルビッシュ~~~~~!


 
Commented by さんちゃん at 2009-03-25 01:08 x
本1冊分の読み応えあったっす。

ありがとうございます。


侍JAPAN、万歳。
Commented by taku at 2009-03-25 08:19 x
やりましたね、侍ジャパン。
あの底力、MVPはそれを引き出した原監督とコーチ陣にこそあげたいくらい!
Commented by マチダ at 2009-03-25 15:33 x
全日本に拍手です。
インタビューやシャンパンファイトにすごく癒されましたし、元気もらいました。
Commented by スキッパー at 2009-03-25 18:10 x
多分、お兄さんの名前は、前一郎 だと思います(笑)
Commented by わらわら at 2009-03-26 00:14 x
なんともいえぬ気持ちのよさ、いまだ覚めやりません。
選手たちのインタビューも素晴らしい言葉ばかり。
気持ちいい!
Commented by sammag at 2009-03-26 20:53
>ジェットさん
やはりジェットさんにも85年は特別だったようですね。
当時のサッカーファンとプレイヤーはあの一発で「プロリーグ」への道が見えましたね。
ぜひ今度この件はキャンプで続きをしましょう!
Commented by sammag at 2009-03-26 20:53
>cozyさん
なんかWBCで熱くなってしまいました(笑)

本当に美しい弾道で、それが切り裂いたものゴールネット以上の価値でした。
おっしゃるとおりあれがなければドーハもその後もなかったでしょう。
Commented by sammag at 2009-03-26 20:53
>みーすけさん
よかったですね、世界一!
サッカーの始まりは西ドイツ大会でした。あれをみて無性にサッカーを始めてしまいました。
それ以降プロというものとアマチュアの差がいつ埋まるのかずっと願っていました。
そうすれば必ず韓国にも追いつけると・・
この侍ジャパンの日本力、ぜひ今の代表に欲しい!!
Commented by sammag at 2009-03-26 20:53
>まなちゃん
ドジャースタジアムと言う大変な歴史ある球場で「最高の一戦」だったと言う評がなされましたよ。
イチロー・・・神かも・・・
Commented by sammag at 2009-03-26 20:53
>ザッキー
うむ、そうであろう。若すぎるザッキーには昔過ぎたかな(爆)
パンチ・・・熊谷組ですな!(笑)
でもパンチがいなかったら今でも「鈴木一郎」だったでしょう。
そういう意味ではパンチ佐藤はすごい功績があったかも。
Commented by sammag at 2009-03-26 20:54
>桜並木さん
しっかり世界の球史に刻まれましたね。
そしてこの二国であることは歴史的な意味もあると思います。
Commented by sammag at 2009-03-26 20:54
>Solusさん
イチローだったら絶対長男ですよねー。
今イチローが身につけてるもののがかなりがお兄さん(デザイナー)のものだそうですよ。
ダルビッシュ、100マイル投げ込みましたからねー。これはアメリカのスコアラーが黙ってないでしょう!
Commented by sammag at 2009-03-26 20:54
>さんちゃん
こちらこそありがとうございます。
おめでとう、ですね。
Commented by sammag at 2009-03-26 20:54
>takuさん
全員の力ですね。それを引き出す監督の役割は相当重かったでしょうね。
その意見に賛成です。
Commented by sammag at 2009-03-26 20:54
>マチダさん
厳しい試合と対比して柔和なシャンパンファイトはよかったですねー!!
Commented by sammag at 2009-03-26 20:54
>スキッパーさん
それはないでしょう(笑)
Commented by sammag at 2009-03-26 20:55
>わらわらさん
2日目でやっと落ち着けましたねー。
それにしてもみんなプレイも喋りも立派!
by sammag | 2009-03-26 00:28 | マスター雑話 | Trackback | Comments(24)

人生は旅。旅は人生。日々は扉の向こうとこちら側。キャンプ・食・星・日常を綴る、アウトドアライター・キャンプブロガー・JACインストラクター/講師・温泉ソムリエマスター/温泉健康指導士・星のソムリエ® ・exite公式プラチナブロガー SAMの人生キャンプブログ


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