抜けたペグを遠くに飛ばさず出来る限り周囲の被害を防ぐ。
私の数年来の思いであり願いでした。
これを叶えてくれるものとして今使っているのが、
QUALTZ「スクエアペグ」です。
出来たらこのペグの買い増しを進めて早くペグの中核にしようと思っています。
私は数年前、恐ろしい光景を見ました。
頑丈と言われるペグが、突風によって引っこ抜かれ、空に遠く舞った光景を。
そしてそのペグがあるものを破壊したのを。
幸いそこに人はおらず物だけで済みました。
しかしそこにもし誰かがいたなら・・・
100組を超えるフリーサイトでの出来事です。
正直あの光景はトラウマになっています。まるでアーチェリーの矢のごとく、しかもあの重さの慣性が加わり、恐ろしいほどの破壊力だったのです。
しかし実際、キャンプでペグを使わないというわけにはいきません。
その後のキャンプでは、強風に耐えることを優先にせず、突風が吹く環境下ではできるだけ幕体をなくすようにしています。
QUALTZ「スクエアペグ」はアルミ7075、いわゆる超々ジェラルミンで出来ており、鋳鉄製に比較すると見た目以上の軽さがあります。
それは1本単位ではなく、4本以上数がまとまればまとまるほど明らかなる重さの違いを実感できます。
私ももう年だし、あの重いペグを何十本となく持ち運ぶのもさすが苦になってきました。
ところで・・・このペグ・・・どこかで見たような・・まぁ、そういうことは横に置いておき(笑)・・
・・・先端が違いますね。
先端はある程度鋭角になっていて、そしてこの部分だけ丸く打ち込みやすくなっています。
打った感じは鋳鉄製とはちょっと異なり、あの粘るような反発ではなくやはりアルミらしく「カツンカツン」とした独特の反発。
本体は凹凸のある四角で、土中の回転を避ける形状になっているのも特徴。
それに、丸状に比べれば四角で「土中に触れている表面先が大きい」というのも特徴になるでしょう。
その面積が大きいことこそ摩擦を高め土中で固定する力が強まる優位性がありますから。(長いペグに優位性がある理由の一つはそれですよね)
フックはステンレス製のリング形状。
これこそが特徴です。
ここにガイロープを貫き通しペグとロープを一体化させます。
これで万が一抜けてもペグだけが遠くに飛散することがなくなります。
しかしそれって現実的だろうか?
設営時に毎回1本1本ガイロープを貫き通すことが必要になり、
わざわざ全てのロープの「自在(ストッパー)」を一度外さなければなりません。
これ、何回も繰り返せないでしょう、さすがに。
それをしなければ、いつも通りこうするしかありません。
これはこれで全くダメということはないかもしれませんが、そもそもこれならばスクエアペグである必要がありません。
そこで・・・
いろいろ考えて現在実行しているのが、
「輪くぐり」方式。
こうなります。
自在を外さず輪のままこのリングフックを抜き通す方法です。
一回リングをくぐっているので、引き抜かれたとしても理屈上ペグとロープが離れることがありません。
※撮影のために浅く打ち込んでいます。実際はリングのところまでは少なくとも打ち込む必要があります。
簡単に図解しますと、
まず輪のままリングフックに通します。
その輪を伸ばし、
今度は先端をくぐらせ縮めます。
ぎゅっと引けば輪のままリングを通せることができました。
言い方が悪いですが、これなら振り回してもペグが飛んでいきません。
一応周囲に人がいない時に数十回勢いつけて引っこ抜いてみました。
そもそも抜くのにめちゃくちゃ苦労しましたが、その場ですっぽ抜けてもペグだけが舞飛ぶことはありませんでした。
ではこの方法で絶対かというとそんなことはありません。
絶対ではないにしろ、こうすることで大幅にリスクを減らしたことには間違いありません。
ただし、いくつかの欠点があります。
それはペグに絡むロープが一方向でないためロープ自体の滑りが悪いという点です。
自在を緩めてからの締め直しが少しだけ面倒にはなります。
また、ペグとロープを一体化するということは打ち込む前にそうなっていなければならないということになり、これに違和感を覚える方もいるでしょう。
慣れの問題と言えばそうなのですが。
それとペグ抜きがしづらいかもしれません。
それこそ抜きづらいというのは表面積が多く触れている賜物ではありますが、真上に引き抜く前に、ハンマーのペグ抜きなどをひっかけたままその場でドリルのように横回し回転で力を入れてからだと土離れがよくなる感じです。
引き抜きでペグを飛ばしたらそもそもの意味がありませんから。
※撮影のために浅く打ち込んでいます。実際はリングのところまでは少なくとも打ち込む必要があります。
キャンプ設営における最も難易度が高く奥深いのは、もしかしたら「ペグ打ち」かもしれません。
あえて言いますが、ペグがペグとして使われなければ、「凶器」と言っていいほど取り扱いには神経を配るべきものです。
鋭角な鉄の塊ですよ。ものによってはコンクリートもぶち抜く破壊力を持っているのですよ。
前述したとおり、ペグが宙を舞い、そこに人がいたらどうなるでしょう。
プラペグを軽視する向きもありますが、その点からしたら安全性が高いものとして再評価しなければなりません。
はらんだ危険を回避する、これ重要ではないでしょうか。
多様な状況下では、ペグの選択だけではなく、打ち方そのものも重要な課題です。
(これについてはいずれまた)
安定した居住空間を作り上げると同時に、安全を確保するための工夫や知恵はとても大切。
と同時に周囲への安全も配慮する。
例え一夜であっても、そこは大事な責任ある「自分の家」なのですから。
※撮影のために浅く打ち込んでいます。実際はリングのところまでは少なくとも打ち込む必要があります。