広島カープ黒田選手が日米通算200勝達成。
そしてヤンキース時代に元同僚のイチローがコメント。
「日米合算なんて俺は認めない!おめでとう」と。
ニュースでは、イチローらしい冗談とかユーモアと書かれている。
しかし、むしろこれは「エスプリ」ではなかろうか。
散々自分に言われたことにはまともに取り合わなかったのに、このタイミングでこのステキな言葉で切り返すなんて。
こんな記述がある。
精神、機知、才気。本来「肉体」に対しての「精神」の意味であるが、一般にはフランス人特有の機知のことをさすようになった。明晰(めいせき)さこそフランス的であるというように、エスプリも明晰、直截(ちょくせつ)で、間髪を入れず、ときには人の肺腑(はいふ)をえぐるような鋭さをもった表現であり、しかも理知的であることが理想である。エスプリはまた、その矢面にたった人が相手のことばを上回る機知をもってやり返すときに真価が出るのであって、笑って答えなければ愚鈍とみられてしまう。ユーモアが自己を客体化し婉曲(えんきょく)な表現となることが多いのに対して、エスプリはあくまでも主観的で、遠慮や気どりを排斥した明快さに特色がある。
イチローの一言は、まさにこれにあたるのではないか。
久々にエスプリをイチローの一言で味わった。
この機転と短いセンテンスに籠める力はイチローの打撃センスに似ている。
皮肉しか言えず洒落っ気もエスプリも小粋さもない返答はつまらない。
ちょっとしたイヤミもエスプリにしてしまう術は簡単じゃないけど、イチローの「オシャレな流し打ち」に多くを学ばせてもらった。