昨年プロトタイプをレポートしたところ今をもって相当量の検索があり、その期待度をひしひしと実感していました。
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バーナーが二つあるから2バーナー。
なぜこの2バーナーの存在が長きにわたってオートキャンプで常識であったのか。
ハッキリ言って理由は簡単だと思います。
キャンプへの「キッチンの移植」だったからです。
キャンプの食事のシチュエーションに、日常のライフスタイルを持ち込むのは当然であったし、何も疑いのないもでした。
食事をするテーブル、食事を造るキッチン、つまり「生活導線」を確保するのが常識だったのです。
しかし、それは2010年ころからだんだん崩れていきます。
いったん座ったら離れないロースタイル、個食個泊の女子キャンプからのシングルスタイルの目覚め、山、フェスなどの美味しいとこどりのスタイルミックス・・・これらの複合的な流れがオートキャンプの主軸だった生活臭さを取っ払ってしまったのです。
そして、それまでの生活導線的なフローは常識ではなくなり、同時にガッツリした料理を楽しむようなビストロスタイルはすっかり隆盛を失い、もっともっとライトで見た目も鮮やかなカフェスタイルの食事であれば、わざわざ作りこむキッチンなどというヘビーデューティーはもういらなくなってしまった、そんなところでしょう。
だから生活臭い2バーナーはもう出番がないです。
箱形の2バーナーみたいなドデカイものは不要だけど、いきなりシングル、しかも山用シングルでよかったのかというと実は誰もが「ちょっと小さいよね」くらいなことは思ったりしたんじゃないのでしょうか。誰も言わなかったけど。少なくとも車で移動できる人は。
その答えがこれです。
そういう企画だったかは知りません。
でも私はこれが初めて出てきた昨年、間違いなく「答え」だと確信しました。
テーブルトップ。
導線なんかないんです。いつでも目の前にあるから。
むしろ答えというより、先に廃れたビストロスタイルと今は中心のカフェスタイルのどちらでもない、全く別のキャンプの食のスタイルがここからできたりする、そんな気もします。
それがどういうものなかは漠然として分からないんですけど、昨年のブログにも書いた「団欒の集中センター」としてきっと創造力がたかまるのではないかと。
あんまり難しい話ではなく、これが製品として出れば、あとはユーザーが勝手にどんどん創りだしていくでしょう。
同時にこれを囲むような脚に安定感が。接地面が大きいのでプロトよりはるかに安定しているはず。
五徳がハードになりましたね。個人的には先ほどの「生活臭さ」が出ちゃったのでプロトの方がデザイン的には好みなんですが、安定感を優先させたのはいかにも新富士さんの思想だと思いそれはそれで納得。
でもこういうところにこそ「意匠」がほしいんだよなぁ・・・
そうすれば工業製品から工芸品となるはず。
可変式の遮熱版が付きました。
これはどうしてかといえば、別売のグリドルとかの鉄板を縦に置かれたりなんかしたらえらいマズイわけです。もちろんそんなことをする人がいないとは思うのですがそのリスクヘッジをするあたりも新富士思想なのかな、と。
肝心のバーナーはマイクロレギュレーターを当然のごとく備えています。ここについて何の不安もなく、名品の310以来の安定感は誰もが知っています。
昨年のレポートではこれをして「タブレットストーブ」と称しました。
昨年の実感からすると今回の印象はちょっと変わった気もします。
キッチン的な機能であった時には二つの役割があるから2バーナーとか呼ばれてましたけど、コンパクトにテーブル上でまとまって2つが一つ、つまり「二重奏=デュエット」になった、むしろこういう感じじゃないのかなぁ、と。
独奏が二つだった2バーナーの呪縛から離れれば、
・・・・ 「デュオ」バーナーですかね。